77.アキラ、連れ出す。

 突然の申し出に困惑するふたり、僕は混乱しまゆきは赤面になる。イリスとアルテシアは目が点になっている。さすがに、本人の意向も無視して、それはできない。そう思い、


「さすがに、まゆきさんの気持ちを無視してまで結婚はできませんよね?そう思いませんか?」


とまゆきさんを見て、同意を求める。しかし、当の本人は、


「わ、私はアキラさんなら、幸せな家庭ができると思います。妹のあやし方もお上手で子供が好きそうな方ですし、それにお優しい人そうなので悪いようにはされないと思っています。」


あ~~れ~~これまんざらでもないぞ。僕の思ってた展開と違うぞと藪から棒な解答をされる。そして、老婆は


「本人もそう言ってますし、それでは結婚を認めていただけますね。」


と再度迫られる。いや、本人が結婚してもいいって言っちまったらあかんよ。と思いながら、イリスやアルテシアにこのことをどう思うか聞く。


「もう今さら、ひとりやふたり増えた所で変わらないし、私はいいですよ。」


とイリスは言い、


「私はアキラ様の子供を授かれたら、それだけで十分幸せですし。私も構いません。」


アルテシアも反対意見はないようだ。こうなってしまうと、もう取り付く島もない。やっべーなこれ、もう了承するしかないやんそう観念した時に、


 ましろちゃんが、


「結婚ってなあに?」


と聞いてくる。そうだ!!妹を置いてはいけないだろうと機転が回る!!ゲスいと言われようが、知ったこっちゃないと思い、


「そうだよ。もし、結婚したらお姉ちゃんと暮らせなくなるよ。」


と妹を盾に迫る。これには、老婆もたじろむ。アハッ!勝ったな!と思った瞬間、


「でも、それでお姉ちゃんが幸せなら、私いいよ。」


とまさかの答えを返す。ましろちゃん、あんたぁ・・ええ子やん。と内心思いながら、脂汗が噴き出す。僕は腹を括り、


「本人がいいと言うなら、認めましょう!!」


ついに降参する。だが、まだ会って一日しか経っていない。


「ですが、本人が私との結婚を望まなくなった場合、その時はこの話はなしということでいいですね。」


と事実上の婚約という形に持っていく。老婆もこれが妥協点と理解したのか、


「ええ、もちろんです。」


と了承してくれる。パッパ、マッマ・・・異世界来て婚約者が3人と内縁の妻が1人できました。と遠くの空を見つめて思うのであった。しかし、ましろの顔は、周りの空気とは裏腹にあまり嬉しそうな雰囲気ではなかったことに気付くアキラなのであった。老婆がまた、村人を招集していく時に、こっそりとましろちゃんを肩車してその場を抜け出す。そして、近くを散歩しながら、ましろちゃんの本心を聞き出すことにした。


「本当に、お姉ちゃんが遠くに行っちゃっていいの?」


と核心を突く質問を投げかける。ましろちゃんはしばらく考え込み、そして答えを出す。


「お姉ちゃんは、いつも私を一番に考えてくれてたの。そのお姉ちゃんが初めて自分の気持ちに素直になってくれたから、その気持ちを尊重しなくちゃいけないと思ったの。だから、わた・・わたしは・・・。」


と少女は自分の気持ちを本心をさらけ出して泣くのであった。

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