68.アキラ、森に入る。
皆が起き始める、最初の起きたのはテラだった。
「アキラさん、膝枕ありがとうございます。」
と一礼し、朝の身支度をしはじめる。
それから10分後くらいにイリスやアルテシアが起き始めて、同じく身支度をしはじめた。
女の子っていろいろ大変だなと思いながら、焚き火の小枝を少し補充しにその場を離れる。
キャキャと黄色い声が聞こえる。百合百合してるなと思いつつ、垣間見るとアルテシアの水魔術で、水浴びをしている真っ最中だった。
いかん、バレたらまずいとすぐに、小枝を探す作業に戻るのであった。少しだけ彼女たちの裸体が見えてしまい、このままだと気付かれそうな気がするので、煩悩を打ち払うため、少し座禅を組んで心を無にする努力をしてみる。
「キャキャ、もうアルテシアさん、冷たいです~。」
「はぁー、身体がきれいになっていく感じがするわ。」
と言うような黄色い声が聞こえてくるものの、今の私には関係ない鳥のさえづり程度にしか聞こえないように努める。
そして、彼女たちの水浴びが終わった頃、僕は心を無にして集めた小枝を焚火に組めて火を強める。
風邪でも引かれちゃ可哀想だからね。3人は冷えた身体を温めている。
「アキラさん、ありがとうございます。私たちが水浴びしてたのを知って、小枝集めなさってくださったのですね。」
「うん、風邪をひいちゃ可哀想だからね。」
と紳士っぽく応対するが、なんだか墓穴を掘ったような気もする。イリスはこちらを見ながら、
「アキラも、一緒に水浴びすればよかったのにね~、残念。」
と本当か冗談かわからないことを言ってくる。
彼女絶対に、僕がそんな度胸がないことを見越して言ってるような気がしてならなかった。
朝食も食べ終わり、馬車を出発する。ここからは、昨日と比べて安全な道なりなので、のんびりと進んでいく。イリスが助手席に座り、耳打ちをする。
「本当は、すこし覗いたんでしょ。」
と核心をついた質問を投げかけられる。しかし、今の僕は、無の心だ。
「是非もなし。」
と答えると、イリスはすこし、小悪魔な顔をして、
「アキラの裸、見たかったな~。」
と言いニヤリと笑って、荷車に戻るのであった。この言葉で無の心は煩悩まみれになるのであった。
馬車を進めていくと、景色は一変し周りを見れば森、森と言った様相に変わっていた。
白樺っぽい木や針葉樹が多く見られるようになってきた。どうやら、道に沿って森を抜ける様で、地図をイリスに見せてもらう。
行程は半分は過ぎているようで、おおよそ後3日で着くような感じであった。このまま、何もなければと思うアキラなのであった。
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