64.アキラ、連携する。
ぼぉーとして、時間を潰してどのくらい経っただろうか。
段々と空が明るくなっているのに気付く。
三人とスヤスヤと眠っており、どうやら皆なんとかこの寒さを乗り切ったようだ。
これから、気温が上がっていくことに期待しながら、朝焼けに照らされる景色に心を癒される。
そして、朝日の光で三人が起き始める。しかし、なかなか離れようとしない。おしくらまんじゅう状態である。
しばらく経った後、段々と熱くなってくるが、それでも顔を紅めながら密着している。
そうして、やっと名残惜しそうに離れて、それぞれのやることをしはじめる。朝食ができるまで少し目を閉じる。
寒さが良い具合に眠りを誘い、少しだけうたた寝をするのであった。
誰かに揺らされて目が覚める。
「アキラさん、アキラさん、ごはんができましたよ。起きてください。」
優しい声色でテラが起こしてくれる。
「ああ、ちょっと寝てたよ。起こしてくれてありがとう。」
とテラに言うと、彼女は嬉しそうに食事を運んでくる。朝食のメニューは、土ウサギを煮込んだシチューっぽいものだ。一口掬い食べる。
「おいしい。土臭くないな。」
そう言うと、3人が嬉しそうな顔をする。
食事を食べ終わると、後片付けをして馬車に乗り込む。馬は元気よさそうにブルルと鳴く。いよいよ、峠を下っていくのだ。気合いを入れなおし、馬の手綱を握る。
峠の下りは、気を抜くと落ちる危険があるので、登り坂以上に注意して進まなければならない。
馬と呼吸を合わせて、慎重に慎重に進んでいく。角度はそれほどではないが、やはり少しスピードが出る。
尾根に沿い進んでいくと、カーブも見えてくる。ゆっくりと進み、落ちないように気を付ける。そのうち、精霊さんが
「宿主、スキル【平衡感】のレベルが2に上がりました。おめでとうございます。」
報告と同時に、少しだけ馬車のバランス感覚が掴みやすくなったような気がする。これで少しは安定性が増したのであった。
「ちょうど、中腹ぐらいかな。皆大丈夫?」
と皆に声をかける。3人ともこの緊張感にも関わらず、平気そうな様子が見られ、馬も平気そうだ。
その時、ハンターセンスが反応する。
「何か来る!!」
と皆に伝えた、瞬間イリスも何かを感じとったのか、助手席に滑り込む。
どうやら、上の方から嫌な感覚が押し寄せる。すると、大きな岩が今にも崩れそうだ。
これか! と思った時には、岩が落ちてきていた。コインを手に取り、力を込めるが、一瞬のため少ししか入れることができずに放つことになる。
岩に亀裂が入るが、壊すには至らなかった。
「アルテシア、合わせて!!」
イリスの声が響く。アルテシアの水の魔術が放たれ、それにイリスが合わせるかのように、それを凍らせて一瞬で大きなつららを作ってぶつける。
岩は砕かれるが、小さな石らが、降り注ぐ。砕けたつららの塊に電流を通す。
そうすると、即席の氷の盾を作り、防ぐことに成功する。
「危なかった・・・、みんな大丈夫?」
と聞くと、皆、なんともないと返事する。どうやら、皆、無事の様だ。
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