47.アキラ、入城する。
港町が見えてくる。ついに、王都アルトリスの港に到着したのである。
僕ら一行は、船を降り、また馬車に乗りこむ。そして、王都城内へと、先を急ぐのであった。
皆にどうぞどうぞと促されて、僕は助手席に乗る羽目になり、前方を警戒する。
王都周辺だけあって、人の往来は多く。テラはその光景に驚いて、
「今日はお祭りでもあるのでしょうか?」
とイリスに質問している。あるあるですな、と遠目に見ながら、微笑ましく思う。
そうしているうちに、遠くの方に城下町とデカい城が見え始める。
イリスが
「ついにここまで来ましたわ。」
と感傷に浸っている。
並々ならぬ覚悟で、この城を後にしたことを思うと、そんな感想になるのも理解できる。
馬車を進めていると、騎士団らしき者達が、遠くの方から来ているのが見てとれた。
イリスはそれを確認すると、
「それでは、私たちはここで一旦、お別れになります。この旅、なかなか楽しいものでしたよ。」
と言うと、少し淋しそうな顔をする。
そして、騎士団は馬車を取り囲む。隊長らしき者が、馬を降り、イリスの目の前に跪く。
「イリス様、お探ししましたぞ。よくぞご無事で、戻って来られました。」
と涙を流している。イリスはその人を労わるように、
「苦労をかけます。しかし、この国の未来のためです。わかってください。」
と言葉を投げかける。その者は静かに頷く。
そして、僕の方を向き見定めるようにしてみる。何かを確信したのか、頷くのであった。
イリスやカルラさん達は、馬に騎乗し先に行ってしまった。
残された僕らは、手形らしきものを渡され、数人の護衛と共に、城下町へと進むのであった。
石造りの町並み、まるでゲームの世界に入ったかのような感覚に陥る。
そんな感情をよそに、大通りを進んでいく馬車、テラは相変わらず物珍しそうに外の景色を見ている。
人々に活気が見られる。市場では肉や魚、野菜や宝飾品が売られている。
時々、衛兵らしきものとすれ違っていく。そうこうしている内に、城内の門に辿りつく。
手形を見せて中に入ろうとするが、先客がいるようで、足止めを食らう。
その一行は、盛大な歓迎を受けて城内へと入っていく。
「アルディカ様、到着。」
と城内の警備の者が大声で叫ぶ。そのアルディカというものの顔だけでも、見ようと思い、馬車から身を乗り出そうとするが、護衛のものに止められ姿は見えなかった。
しばらくした後に、門を通り城内に入ることで来た。城内は並々ならぬ緊張感に包まれていた。
そして、ここで始まる国の存亡をかけた戦いの渦中に、飛び込んでいくアキラなのであった。
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