第22話

「毎度、ばかばかしいお話を・・・」


数日後、お忍びで父の落語を聞きにいた。

確か初めてだ。


一度も、行ったことはない。


親父が嫌いだからではない。

子供が親の仕事場には、来るものではないと、教えられていたし、

僕も、そう思っていた。


同級生は。案の定冷やかして来た。

「お前の親父さん、笑点出ないのかよ」と・・・


そのたびに、「本業の落語がおろそかになると言ってる」と、ごまかしていた。

僕も出て欲しいと思っていたが・・・


そして、席を立つ。


「いいものだな・・・落語も・・・僕には無理だが・・・」


その夜、親父が尋ねてきた。


「よく来てくれたな。見えたよ」

「すまない・・・親父」

「いや、いい。ありがとう」

缶ビールをふたつ、持ってきていた。


「たまには、ふたりで酌み交わそうや。裕哉」

「ああ」


2人で乾杯をする。


「親父」

「どうした?」

「水子で亡くなった、叔母さんだけど・・・」

「お前も会ったか・・・」

「ああ」


その後の会話は、覚えていない。

ただ、やはり親子はいいものだと、思った。


翌日


「久しぶりに、描いてみるか」

押し入れから、漫画の道具を出して来た。


どうなるかはわからない。

むしろ、マイナスになる可能性が、高い。


でも、すぐ近くで応援してくれている人がいる。

それを、信じよう。


題は、【空】


気のせいか、ナンシーがすぐそばにいる気がした。


≪だよ、ゆうくん≫

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勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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