第20話
「じゃあ、ナンシーおばさんは・・・」
睨みつけられる、
「ナンシーは、どうしてその容姿なの?」
その問いに、ナンシーは答えた。
「この世界は、1070年の世界。その年に亡くなった人や、動物が集まるの・・・
あと廃車になった乗り物や、無くなった建物もね・・・」
「うん」
「そして、人の場合は、もっとも美しく輝いている、18歳になるの・・・
100歳のお年寄りも、0歳の赤ちゃんも、当然水子もね・・・」
「うん」
ひとつ疑問が出来た。
「それなら、1969年の世界や、1971年の世界も・・・」
「当然あるわよ」
「でも、どうして僕をここに・・・」
ナンシーは、答えた。
「君に初心を思い出してほしくて」
「初心?」
「うん」
ナンシーは、頷いた。
「私のお兄ちゃん、つまり、君のお父さんだけど・・・」
「うん」
「やはり、親子ね。似ているわ」
「どうしてわかるの?」
ナンシーは、続けた。
「君のお父さんが、君の歳の頃、私と会っているんだよ。このままでね」
初めて聞いた。
まあ、普通教えないか。
「僕の親父は、どうだったの?」
「お父さんの仕事は?」
「落語家の・・・えっ?」
「そういうこと・・・」
どういうことだ?
「君のお父さんも、やはり悩んでいたんだよ。自分の未来について」
「うん」
「でも、諦めが早かったんだね。君と同じように・・・」
夢が、早くに冷めたのか・・・
「そこで、見ていられなくて、この世界に連れてきたんだ。初心を思い出してほしくてね」
「親父は、ナンシーが妹だと、わかったの?」
ナンシーは、頷く。
「やはり、お兄ちゃんだね。妹の事は、わかったみたい。ただ・・・」
「ただ?」
「気がつかないふりをしていたけどね」
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