第19話

雲の上に出た。

夢の中だけど・・・


「ゆうくん、気がつかない?」

「何が?」

「下の夜景」


僕は高いところが苦手な、高所恐怖症。

でも、夢なのか、ナンシーがいるからなのか、怖くなかった。


「そういえば、灯りが少ないな・・・」

「正解。じゃあ上を見て」

「星が多いな・・・当たり前だけど・・・」


邪魔する灯りがないから、多く見えるだろう。


「さて、問題。今は、いつでしょう」

「2020年令和元年」

「外れ」

淡々と答えるナンシー。


「じぁあ。いつ?」

「1970年だよ」

「1970年?親父が生まれた少し後じゃないか」

「そうだよ」


僕は、タイムスリップしていたのか?

夢の中でだけど・・・


「私の世界はね、1970年で止まっているんだよ。

紙幣が旧紙幣なのは、そのため」

「じゃあ、今の紙幣とかは・・・」

「もちろん知ってるよ。その情報は入ってくるから・・・言わなかった?」


記憶があいまいだ・・・


「ナンシー、君は一体・・・」

「私?天使だよ」

「本当の事を、教えてくれ」

「だから、天使・・・後天的だけどね」

「というと?」

「率直に言うと、死人」

「死人」

ナンシーは頷く。


「私には、本当の名前はないの?生を受ける前に死んだ・・・いわゆる水子」

「水子?」

間を置いて、ナンシーは答えた。


「私は、君のお父さんの妹・・・つまり、君の叔母なんだ・・・」


時が止まった・・・

夢だけど・・・

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