第39話 暗闇の中の光

正人たちが医師たちと話している時、愛理は暗闇の中で佇んでいた。 暗い世界に一人佇んでいた愛理の目の前に、ふいに淡い光を放ちながら小さな女の子が現れた。


「 戦いに勝ったのに、落ち込んでいるの?」


愛理の腰辺りまでの身長をしている黒髪で長髪の女の子は、愛理を見上げる形で話しかけていた。 話しかけられた愛理は、数秒沈黙していると、静かに口を開けて私はと話し始める。


「私は、必死で戦ったけど……怪物を倒し切れなかったし、さらに進化して襲ってきた!」


頭を抱えて叫んでいると、小さな女の子はあなたが思っている程に、お友達は気にしていないんじゃないと言ってくる。 それに対して愛理は、私はみんなを救いたかったと呟く。


「たとえ、あなたが負けたから救われないと言うわけじゃないよ。 勝手も救われない友達もいるし、負けて救われることもあるよ」


その言葉を聞いた愛理は、顔を目の前にいる小さな女のに向けると、その小さな女の子と顔は幼少時代の自身の顔に似ていた。


「君は……もしかして……」


愛理が小さな女の子の名前を呼ぼうとした瞬間、周囲が明るくなって身体が宙に浮かぶ感覚を感じた。 愛理の身体が宙に浮いていると、どこからか先程まで目の前にいた小さな女の子の声が聞こえていた。


「これから、あなたの人生は良くも悪くも変わり始めるよ。 でも、それに潰されたり、甘んじたりしないで、前に進んでほしいの」


愛理はその言葉を聞いて、微笑していた。


「わかったわ。 私はあなたの言葉を信じて、前に進み続ける! 潰されたりしないようにしていく!」


愛理は上に浮かび続けながら、拳を握りしめて頑張るわと大声で叫んだ。 そして愛理の姿がその場から消えると、愛理がいた地面と思わしき場所に、小さな女の子の姿が静かに現れた。


「黒羽愛理さん……あなたの頑張りに未来の平和がかかっているの……私一人の力じゃ人類を守れないし、人類の歴史は途絶えてしまうわ……」


愛理と話していた時の無邪気な笑顔は感じられず、顔を強張らせていた。


「現実世界で会うにはまだ時間がかかるけど、近い未来では必ず会えるから、その時には……」


最後の言葉は小さすぎて聞き取れない大きさだったが、小さな女の子にとっては大切な事柄であるようである。 愛理にとっては夢の中にいた小さな女の子であるが、小さな女の子にとっては愛理はキーマンであり、小さな女の子の目的には欠かせない人物である。


愛理が病院に運ばれてから三日目の夜、正人が部屋に入ると、楓と奏が先に部屋内にいた。 愛理は既に手術が成功し、回復魔法と外科手術によって安心できるまでに回復しているが、一向に意識が戻らない。 楓と奏は眠り続ける愛理の身体を拭いたり、汗で濡れた服を着替えさせたりしている。 また、時折来てくれる同級生や教師たちの相手をしていた。


「いつもありがとうございます。 先生たちもお忙しいのに……」


楓と正人が面会に来てくれた教師に挨拶をしていると、ふいに愛理が寝ているベットの方から声が聞こえた。


「愛理!? 愛理の目が覚めた!」


楓と奏がすぐに愛理の横に駆け寄り、愛理の名前を呼び続ける。 正人はすぐにナースステーションに走り、愛理の目が覚めたことを伝えていた。 そしてすぐに医師と看護師が愛理の部屋に入り、愛理の名前を呼んで簡易的な検査をしていた。


「意識が戻ってます。 もう安心していいと思います」


医師の安心していいの一言を聞いて、楓と奏が泣きながら目覚めたばかりの愛理に抱き着いた。 愛理は意識が戻ったばかりで、目の前がぼやけているので未だに状況が見えていなかった。

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