第36話 戦闘後

愛理が倒れたのを見た葵は、すぐに愛理を抱きかかえた。 そして、だれか救急車を呼んでくださいと叫ぶ。 その声を聞いた一人の教師がスマートフォンによって救急車を呼ぶも、戦闘の余波で周囲の道路が瓦礫によって塞がれていて先ほどから迎えていないと言われてしまう。


「呼ぶ前に救急車が動いていたが、戦闘の余波で周囲が壊れていて道路が使えなくて来れないらしい!」


そう言われて葵は落ち着いて周囲を見てみると、学校の体育館や側にある駅や道路、電車が壊れているのが見えた。 戦っている時には気が付かなかったが、自分たちが怪物と戦ったことで起きた二次被害だと悟ると、ここまで大規模な戦闘が市街地で起こった場合の被害が膨大だと感じた。



「怪物との戦う際には気を付けることだ」


葵の側に寄ってきた特殊魔法部隊の隊長が、葵にそう告げる。 葵はその言葉を聞いて周りを見て戦闘をするようにしますと返す。 すると、隊長は葵の頭に右手を置いて、若いお前たちが戦わないようにするのが俺たちの仕事だから、仕事を奪わないでくれと笑いながら言った。 隊長と葵が話していると、特殊魔法部隊の隊員たちが総出で瓦礫をどかして救急車を数台星空魔法学院に呼ぶことが出来た。


「よし、救急車が来たぞ! 一番重症な黒羽愛理君から乗せていけ! その次にこの学院の校長だ!」


隊長が傷を押しながら隊員たちに指示を行っていく。 その指示を隊員たちは迅速に遂行をしていき、負傷者や生徒たちを順々に病院に連れていく。 その場にいた生徒たちは人数が多いので、歩ける生徒や教職員たちは徒歩で指定された病院に振り分けられていく。


愛理は救急車に乗せられると、それに続いて葵も乗りますと言って一緒に救急車に乗車した。 その時に、特殊魔法部隊の隊長が特殊魔法部隊員が使用をしている病院に連れて行ってくれと救急隊員に告げる。


「よろしく頼むぞ」


そう言い、特殊魔法部隊の隊長はその場を離れて指揮に戻っていく。 テレビカメラもその様子を戦闘終了後も生中継し続けている。 カメラマンの側にいるレポーターは、愛理や負傷者の様子を話し続けていた。 主に愛理の傷の深さや、喋っていたことを視聴者に伝えているようである。 愛理が乗せられた救急車は、指定された病院に向かっていた。 葵は時折呻き声をあげている姿の愛理を見ると、手を握ったり額の汗をハンカチで拭いている。


「頑張って愛理! もうすぐ病院に到着するよ!」


愛理の手を両手で握って、何度も私がついているからねと言っている。 その様子を見ていた救急隊員は、仲が良いなと感じていた。


「そろそろ到着するので、気を付けてください」


救急隊員に言われた通り、言われてから数分後に指定された病院に到着した。 病院の入り口に停車すると、既にそこには医師や看護師が数人待機しており、救急車から担架に乗せられた愛理を見ると、ありがとうと医師の一人が呟きながら絶対助けるぞと声を上げる。 その声を聞いた医師や看護師は、助けましょうと声を合わせて言う。 その様子を見た葵は、愛理ちゃんは凄いなと呟いていた。


「愛理ちゃんの頑張りがあったから、怪人はさったし、ここまで医師の人たちが愛理ちゃんのために動いているよ」


葵は少し遅れながらも、病院の中に入っていく。 愛理と葵が到着した病院は、特殊魔法部隊や国防に関わる仕事に就いている人達専用の国営病院である。

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