第10話 撮影

愛理は名刺をもらうと、妹の奏がいつもお世話になっておりますと挨拶を返した。 するとその言葉を聞いたマネージャーの赤城は、愛理に近づいて服が濡れてますよと気が付いたことを言った。


「あ、魔法の練習をしていたらそこの湖に落ちてしまって……」


恥ずかしそうに言う愛理に、そんなお姉ちゃん初めて見たと奏が驚いていた。


「だって! 赤城さん凄い美人なんだもん! 私のこんな湖に落ちた姿の前にいいたら恥ずかしいわよ!」


愛理の前の前にいる赤城は黒いパンツスーツを着ており、身長は愛理より高いので、赤城のスタイルの良さが良く見えていた。


パンツスーツを着ているので、赤城のくびれやすらっとしている足などが見えていた。 とてもマネージャーという仕事をしているとは見えず、女優やアイドルなのではないかと思うほどに目鼻立ちもはっきりして、顔も小さいのでその肩まである長さの薄茶色の髪色が映えていた。


「とてもマネージャーとは思えないくらい美人で……」


ちらちらと赤城の顔を見ている愛理を見て、奏は私だけを見てよと愛理の左腕に抱き着く。 その三人の様子を一人のカメラマンが静かに撮影をしていたことは誰も知らなかった。


「あ、いつまでも愛理さんを濡れさせておくわけにはいかないわね」


その言葉と共に、赤城は淡い炎を手から出して愛理の全身を包んだ。 淡い炎が愛理を包むと、愛理は仄かに暖かいと感じていた。 淡い炎に包まれてから数十秒が経過すると、淡い炎が愛理の周りから消えた。


「これで髪や服が乾いたと思うわよ!」


赤城に言われて愛理は、髪や服を触ってみると乾燥機で乾かしたような服の手触りと温かさに加えて、ドライヤーで念入りに整えたようなふわふわな髪をしていた。


「す、すごい! 赤城さんの魔法凄すぎる!」


髪や服をさらに触っていると、赤城は朝がこれでらくなのよと鼻高々に言っていた。 すると、撮影隊の監督と思わしき中年の男性が、撮影はこれで終わりだと叫ぶ。


「まだ何もしてないですよ!?」


その言葉に驚く奏に、監督が姉妹の仲の良さや笑顔をここの湖と共にすでに撮影をしたから大丈夫だと言う。


「後でギャラは二人分振り込んでおくから、これで解散するよ」


その言葉を聞いた撮影隊は、素早く撤収作業をしていく。


「こんなに早い撮影は初めてだよ……どんなふうに撮影したのかなぁ……」


少し不安になっている奏に、赤城がそこはこちらで確認と修正を加えるから安心をしてと言う。


「ならよかったです! 次は何の仕事でしたっけ?」


奏が次の仕事のことを聞くと、赤城は手帳を持っていた小さな鞄から取り出して次の仕事を確認した。


「奏ちゃんの次の仕事はCM撮影ね! 撮影所は少し遠いからもう出発しちゃいましょう」


そういう赤城はタクシーを捕まえると、奏を呼んで行きましょうと言った。 愛理は奏に行ってらっしゃいと言うと、そのまま愛理は家に戻っていく。 ライトスピードは完成してはいないが、途中まで進んだからよしとしていた。


家に到着をすると既に日も陰り、夜になろうとしていた。 自室に戻ってテレビを付けていると、ちょうど回していたチャンネルに奏が出ていた。 奏は華やかな衣装を着ていて、歌っているようであった。 奏がいつかの晩ご飯時に、今度CD出すんだと何やら言っていたことを思い出すと、これがその歌なのかと思った。


「昔はすごい音痴だったのに、今はすごい歌が上手いじゃない! 流石奏ね!」


昔の奏の音痴な姿を思い出しながら、今歌っている奏の歌を聞いていた。 これは録画放送だとさっき奏と会ったことでわかっていたので、いつ収録したのか今度聞いてみようと考える。


そんなことを考えていると、奏の歌が終わったようなのでテレビを消した。 それからライトスピードのことを考えていると、楓が晩御飯が出来たよとの声が聞こえたので、リビングに行くことにした。


「あれ? 奏は?」


奏がいないことを楓に聞くと、撮影が長引いているから晩御飯食べて帰ってくるって言ってたよと教えてくれた。


「あ、奏からメールが来た! お父さんと晩御飯食べてくるって書いてある!」


そのメールを楓に見せると、続けて写真付きでメールが届いた。 その写真はステーキを食べる奏と父親の姿が映っていた。


「奏ずるい! 私も食べたい!」


ステーキ食べたいと愛理が言うと、楓が普通のご飯でごめんなさいねと笑顔の中に怒りが見える程に怒っているようであった。

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