第5話

安曇野「朱雀君。あっちにある小さい島は何?」

北黒さんが砂浜の反対にある小島を指差しながら俺に問いかける

朱雀「あれは、小さな無人島ですね。昔は人がいたそうですけど、今は誰も居ないみたいです」

安曇野「ふーん」

北黒さんは口元に指を当て考え事をするような顔をして、数秒後俺の方へと振り返り言った

安曇野「ねぇ、2人であそこまで泳いでいかない?2人っきりで」

朱雀「えっ?」

俺は北黒さんの言葉に驚き北黒さんの顔へと目を向ける

暑さなのか照れているのか北黒さんの頬は少し赤みがかっていた

朱雀「いや、冬夜や南さん達は」

安曇野「2人っきりでって言ったでしょ」

北黒さんは少しむーっとした顔で言う

それから少し沈黙があり

安曇野「分かった1人で行く」

と、言いながら海の方へスタスタと歩き始める

朱雀「あっ!待って行きます!俺も行きます!」

俺は慌てて北黒さんを追いかけた

そして、北黒さんに追いつき肩を掴もうと手を伸ばす

安曇野「ほら!行こ!」

振り返った北黒さんはニコッと笑い俺の腕を掴む

安曇野「離したら嫌だよ」

そう言いながら泳ぎ始める

俺も引き寄せられるように泳ぎ始める

ゆっくり2人で、同じペースで泳ぐ

俺は内心凄く嬉しかった

ずっと憧れ続けた人と一緒に、2人っきりで泳ぐ

15分位ゆっくり2人で泳ぎながら俺達は小島に着く

安曇野「ふぅー意外と距離あったね~」

そう言いながら北黒さんは腕に付けていたヘアバンドで髪をまとめる

普段綺麗なロングヘアーの北黒さんがポニーテール姿へと変わる

朱雀「あっ」

内心ドキッとした

普段とは違う姿

エロいとかではなく

純粋に綺麗だと思った

安曇野「少し疲れたね。座ろ?」

北黒さんは砂浜に横たわる流木を指さしながら俺に言う

俺は従うように座るとその横に北黒さんが座る

安曇野「実はね、朱雀君に聞いて欲しいことと、見てもらいたいものがあるんだ」

そう言うと北黒さんは少し目を細め、手を祈るように握りしめた

朱雀「な、なんですか?」

安曇野「実はね…私…」

波の音と自分の心臓の音が大きく聞こえる

安曇野「朱雀君が…ずっと前から…す…好きなの…」

北黒さんは俺の目をじっと見つめながら言った

朱雀「えっ…」

離れた所で大きい波の音が響いた

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