第3話
北黒安曇野を海に誘ってから日は経ち、遂に待ちに待った海水浴当日
冬夜「あっち~溶ける~冬生まれにこの暑さはダメだろ」
冬夜が顔を真っ赤にして暑そうに言う
朱雀「もう少しで泳げるんだから頑張れ」
俺達は海の家で北黒さん達を待っていた。
予定より、30分も早く着いてしまったので、とりあえず日陰に居ようということで海の家で休んでいた。
冬夜「北黒さん達来るよな~?」
朱雀「そうだといいんだけどな…」
早く来すぎたのは俺達とはいえ、流石に心配になる。
海では子供連れやカップル、女性グループや色々な人達が楽しそうに泳いでいる。
それを眺める男子高校生2人、正直、周りから見ればデートをすっぽかされた残念な男子2人にしか見えない
冬夜「集合時間になって来なかったら俺泳いでくるな」
朱雀「あぁ、そうだな」
波の音と海水浴を楽しむ人達の声がする海を眺めながらぼーっとしていると、突然首元にひんやりとした冷たい感触が
朱雀・冬夜「うわっ!!!」
俺達2人は、その冷たい感触を払い除けて振り返ると
安曇野「お待たせ~」
そこには北黒さんと女子3名が居た
朱雀「驚かさないでくださいよ~」
安曇野「ふふふ、ごめんなさい。海の方を眺めながらぼーっとしてる2人を見て驚かせたくなって」
北黒さんは楽しそうに笑いながらそういう
冬夜「えっと、北黒さん。そちらの御三方は?」
安曇野「あぁ、紹介が遅れたね。右から山瀬由香(やませゆか)山瀬香奈(やませかな)そして、私の大親友の南虎子(みなみここ)」
由香・香奈「よろしくお願いします!」
虎子「…よろしく」
冬夜「南虎子ってあの学生アイドルの!?」
驚いた様に冬夜は言う
虎子「あんまり大きい声出さないで、面倒な事になる」
冬夜「あぁすいません」
慌てた様に冬夜が謝る
朱雀「学生アイドル?」
冬夜「朱雀知らんの!?四方学園から正式にアイドル活動を許された天才少女だよ!」
朱雀「へぇ~凄いな」
ベコッという缶ジュースがへこむ音と共に南さんの表情が変わっていく
虎子「へぇ~って興味無さそうに言われたのは、貴方が初めてね」
安曇野「ちょ、ちょっと虎子落ち着いて!」
北黒さんが慌てて南さんを落ち着かせようとする
虎子「落ち着ける訳ないでしょ!私はアイドルなのよ?色んな人にワーキャー言って貰える様にずっと頑張ってきたのにへぇ~で終わられて納得出来る訳ないでしょう!」
南さんはかけていたサングラスを外し俺をじっと睨みつけてくる
朱雀「気分を害したなら謝る、だけど、俺はアイドルの南虎子さんじゃなくて、北黒さんの友達の南虎子さんと今日は遊びたい。それだけはわかって欲しい」
虎子「えっ」
突然南さんは睨むのをやめて少し嬉しそうな顔になった
虎子「しょ、しょうがないわね。そういうなら安曇野の友達として遊んであげるわ」
南さんは恥ずかしそうに俺に背を向け腕を組みながらそう言った
安曇野「はいはい、じゃあ時間勿体ないから着替えに行くよ~由香香奈も行こ?」
由香・香奈「う、うん」
安曇野「じゃあ着替えたらここに来るからもう少し待っててね」
そう言いながら北黒さんは3人を引き連れて更衣室に、入っていった。
安曇野「覗いちゃダメだぞ」
そう言って満面の笑みを浮かべてから北黒さんは更衣室のドアを閉めた
朱雀「よく分からないけど、俺らも着替えたり準備するか」
冬夜「おっおう」
冬夜「(この、鈍感野郎)」
由香・香奈「(えっ私たちのセリフ…)」
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