ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~願いで現実を上書きできる世界で転生を祈り続けた少年、願いどおりのスキルを得て、美少女ハーレムを創り、現代知識と聖剣で世界最強へ突き進む~
1章9話 9時53分 第1特務執行隠密分隊、結成する!(2)
1章9話 9時53分 第1特務執行隠密分隊、結成する!(2)
「質問、よろしいでしょうか?」
「はい! マリアちゃん!」
「わたしたち、明らかに新兵なんですけど、新兵だけで構成された部隊なんて、危険すぎませんかね?」
「そんなことは百も承知だぞ! ただ、これには七星団の事情があってねぇ」
「事情、ですか?」
「うん! 結論から言うと、第1特務執行隠密分隊にはスパイの調査、七星団という組織の内部クリーニングをお願いしたいんだよね」
シーリーンたちに知る由はなかったが、それは
無論、シーリーンたちになぜ知る由がなかったのかといえば、その時、その場で、アリシアがロイに他言無用をお願いしたからだった。
要するに、アリシアが言っていたそのスパイ掃討作戦に、シーリーンたちが選ばれたというわけである。
否――この場で語る必要がなかったため、セシリアは特に語らなかったが、そもそも、シーリーンたちとジェレミアが受けた試験はその作戦の人材募集を兼ねていた、というか、それこそが主な試験開催理由だった。
他言無用を言い渡されていたためなにも言えなかったが、ロイは気付いていただろう。
アリシアがスパイ掃討作戦の概要をロイに話した数日後に、シーリーンたちの試験が行われた=そういうこと、と。
「つまりね? この作戦は七星団の一部の人間しか知らないの。当然だよね。七星団全体に、スパイ掃討作戦を実行します~、なんて告知したら、対策を打たれちゃうもん! それで! その作戦で一番重要なのは、ずばり人選! スパイ本人をこの作戦に参加させちゃったら、調べる側が、調べられる側にいるはずのスパイを見逃す~、ということも発生してしまうしね。だ・か・ら! 今回の人選はこうなった、っていうわけ♪」
「なるほど、七星団の中にスパイがいる。なら、新しく入ってきた人をこの作戦のメンバーにすれば、メンバーの中にスパイが紛れ込む可能性は低くなる、という理屈ですね?」
「正解! 流石、最年長のマリアちゃん!」
と、ここで少し疲れたのか、セシリアが近くにあった椅子に座る。
その際、まるで男を誘惑するためだけに膨らんだような爆乳が、たゆん、と、大きく揺れた。
「セッシーからの説明は以上かな? それじゃあ! みんなからの質問受け付けタイムに突入!」
「はいだよ!」
「どうぞ、イヴちゃん!」
「その……第1特務執行隠密分隊? の小隊長? ううん、人数と名称を考えると分隊長かな? とにかくそれって、セシリアさんなんですか? 正直、特務十二星座部隊の一員が隊長なんて、考えられないよ」
基本的に団体の名称は所属しているメンバーの人数で決まり――、
2~20人で分隊、
21~60人で小隊、
61~300人で中隊、
300~1000人で大隊、
500~5000人で連隊、
2000~1万人で旅団、
1~2万人で師団、
3万人以上で軍団、
――と、そう呼ぶ。数が重なっているところはケースバイケースだ。
「いや? 分隊長はマリアちゃん、補佐官をアリスちゃんにしようかなぁ、って、思っていたっていうか、すでに決まっているよ?」
「わたし!?」
と、マリアが驚く。
言われたら断れないのがこういう時勢のこういう組織の常識だが、書面さえ使わない大雑把な任命だった。
「いやはや、イヴちゃんはとっても強いけど、いかんせん、少し感情的だし、戦術とかを考えるのは苦手だから。少なくとも、試験の結果を考慮すると」
「が~~ん、だよ!」
「ゴメンね、でも、これ、人の命がかかっているからさ」
「うぅ……」
「ちなみにシィちゃんが補佐官じゃない理由は基礎がまだ固まっていないからだね。シィちゃんの話はセッシーも聞いて、それをすごいとも思ったけれど、基礎ができていない以上は補佐官にはできません」
「は、はい……精進します」
「でね? 実は第1特務執行隠密分隊以外にも、スパイ掃討作戦を実行する予定の分隊は存在するんだよね。まぁ、お察しのとおり、シィちゃんとジェレミアくんが戦った試験、他にもいっぱい、戦っているペアがいたでしょ? その合格者が、ね?」
「それで、その複数の分隊のトップが、セシリアさんなんですか?」
「アリスちゃん! 正解! いわゆる極秘分隊が王都だけで10個、王都に限定しなければ、国内に約100個存在するからね。グーテランドの領土面積と七星団の地方拠点の数を考慮したら妥当な数字なんだけど……ほらっ、すると単純計算で、1000人前後の極秘分隊を束ねることになるからね!」
「全然極秘じゃないよ!?」
「あはっ♡ まぁ、バカ正直に10×100をしちゃったからね! 分隊の平均値が10だと仮定した計算だけど、現に第1特務執行隠密分隊は4人で構築されているでしょ? 実際はもっと少ないから」
「それでも極秘とは言えないような……」
「おっと、その考えはいけないよ、シィちゃん? 人数で考えるからダメなの。全体との比率で考えないと」
「な、なるほど、です」
「それで、他に質問はあるかな?」
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