ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~願いで現実を上書きできる世界で転生を祈り続けた少年、願いどおりのスキルを得て、美少女ハーレムを創り、現代知識と聖剣で世界最強へ突き進む~
1章4話 9日7時 ロイ、初恋について語る。(1)
1章4話 9日7時 ロイ、初恋について語る。(1)
七星団学院に向かう馬車の中――、
ロイとシーリーン、そしてイヴとマリアの4人は――、
「試験以降、シーリーンさんがいつにもましてお兄ちゃんにくっ着いているよぉ……。お姉ちゃん、なにか知っている?」
「~~~~っ、イヴちゃんにはまだ早いですからね?」
「? う、うん」
キョトンと小首を傾げるイヴに対して最近、夜にロイとシーリーンがなにをしているのかをハッキリ理解していて、マリアは思わず赤面してしまう。
が、少なくとも片方には自分たちがなにをしていたのかを知られているのに、シーリーンはラブラブ一直線でロイの腕から離れなかった。
「えへへ♡ ロイくん、大好き♡ 好き♡ 好き♡ 大好き♡ 愛してる♡」
「シィ、イヴと姉さんの視線が痛いから、少し……」
「も~、しょうがないなぁ~。その代わり、帰ったらまたシィのことを愛してね?」
「う、うん……」
ここでようやくシーリーンはロイから離れる。
「それにしても、シーリーンさんが羨ましいよぉ……」
「ロイくんの近くにいるから、かな?」
「それもあるけど、よくよく考えたら、お互いに初恋の相手とゴールインしたわけだよ?」
「そういえばそうですね。実年齢もありますし、弟くんは故郷で恋愛していませんでしたしね。一応訊きますが、シーリーンさんは――」
「当然、ロイくんが初恋の相手だよ? ねっ、ロイくんもそうだよね?」
「えっ?」
「「「……えっ?」」」
瞬間、馬車の内部の時間が止まったように、みな一様に動きを止めた。
まるで超高等な氷結の魔術を発動したような感じである。
シーリーンはもちろん、イヴもマリアも、その「えっ?」ってなに? という視線をロイに向けている。
流石に動揺するロイ。明らかに反応をミスってしまったし、それを今さらなかったことにするのは、どう考えても不可能だろう。
しかし、だ。
いくらロイでもこの状況で早々に、次にどんな言葉を口にすべきかが決まるわけではない。
「あっ! ろ、ロイくん!」
と、シーリーンが急にロイのことを呼ぶ。
対して彼は言葉を詰まらせつつも――、
「ど、どうしたの……?」
「ロイくんって確か! いや、絶対に、幼馴染がいたよね!?」
「えぇ、っと……、イヴと姉さんに訊いてみたら?」
妹と姉にロイは会話をパスする。
直感的に、パスした方がいいと判断してしまったのだ。
「? わたしが村を出るまではいませんでしたね。それ以降のこと、イヴちゃんは知っていますか?」
「わたしも知らないよ? で、わたしが生まれる前のことはたった今、お姉ちゃんが証言したし……」
手を頬に当てて、マリアは首を傾げる。
そんな彼女に訊かれて、イヴは可愛らしく首を左右に数回振った。
しかし、そんな2人の疑問&否定を、シーリーンは声を大にして、改めて否定しようとした。
「違う! ロイくんは前に自分でほのめかしていた! ボクには幼馴染の女の子がいる、って! 具体的には、ロイくんがアリスのお父さんに負けちゃった日、シィがロイくんの前世を指摘したタイミングで!」
確かにシーリーンの言うとおりである。
「あっ! 前世を指摘したタイミングで、幼馴染の話が出てくる、ってことはだよ?」
「弟くん、前世にも女の子と……って、あっ!」
「どうしたんですか、マリアさん?」
「イヴちゃん! わたしたちも聞いていましたよね!? アクアマリンの月の18日に!」
「ああああああああああ!」
今度はマリアの言うとおりだった。
ロイが今回の長期休暇を国王陛下から直々に与えられる少し前、
「あの時、弟くんは幼馴染の存在を明かしましたが、女の子とは言っていませんでしたからね……っ! てっきり男の子だと思い、スルーしてしまいました!」
「シィも思わずスルーしちゃいました! だってあんなに苦しそうに前世を懺悔し始めるし、帰ってきたらレナード先輩と戦うし、戦ったあとは入院するし、さらに入院中にアリスとも付き合い始めるし!」
「お兄ちゃん、どういうことなのよ!?」
自分に好意を寄せている女の子3人に迫られる。しかもその理由は、自分の初恋を巡ってときた。
間違いなく、ロイにしては珍しい修羅場タイムである。
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