第46話 攻防

「ほらほらこっちだ!」

Bチームの男の人が叫ぶ。

化け物が手を伸ばした。その手をAチームのララが噛みちぎる。ララはワニの姿から戻った。

化け物が奇声を発する。

次の瞬間、化け物から生えた馬の足がララを思い切り蹴飛ばした。

ララは後方に飛ばされる。壁に激突する直前、Cチームのナナがララを体で受け止めた。

「Bチームの方、向かって東の方向へ逃げて!」

ナナが指示を出す。

Bチームは東へ逃げ、それを追って、化け物は東へ移動した。

私は手をヤモリに変えて天井に登る。

「今よ!」

指示された通り、私は天井の照明を3つ化け物に向かって落とした。

化け物に当たった衝撃で割れた照明のガラスが、化け物の皮膚に刺さる。

化け物が怯んだ隙に、Aチームの2人の男、ササとツツが虎に姿を変えて襲いかかった。

ササは化け物の目を潰した後、その目が口に変わらない内に急いで距離をとった。

化け物が目の回復を行っている間、ツツが化け物の足を何本か噛みちぎる。

化け物は体制を崩した。


「よし、このまま倒すぞ!」

ツツは化け物に突進した。

肉塊がうごめく。

「ツツ、離れろ!」

ササが止めたが、ツツのスピードは最高速度に達していた。

化け物は細長く伸びた。口が広がる。

走る勢いを殺せなかったツツは、その口の中に入っていく形となった。

「あ……」

ツツは口の中に消えた。

化け物が勢いよく口を閉じる。

後には嫌な咀嚼音が響き渡った。

「ちくしょう……!」

ササは敵をとろうと走り出した。

「冷静になるのである!」

ケケが声をかけた。

「あの化け物の弱点を見つけない限り、きりがないのである!」

私はケケのいう通りだと思った。だが、何も手がかりがない。

「おい……で……ない………でえ」

訳の分からない声を発しながら、化け物は上に飛んだ。

急いで避けた私は天井から落ちる形となった。

このままじゃ、頭から落ちる。

私は自分の頭が地面に打ちつけられるのを容易に想像できた。

だが、そうはならなかった。ココが受け止めてくれたお陰だ。

「わ、わ、わわっ」

ココは私を受け止めてくれると、バランスを崩してしりもちをついた。下半身をゾウ変えていたとはいえ、7才の子供には強すぎる衝撃が加わったはずだ。

「ありがとう、ココ」

私はお礼を言った後、ココを抱きかかえて化け物から距離をとった。

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