第22話 再び町へ
私は暇な時間に「不治の病」にかかっている人を探した。でもなかなか見つからなかった。町の人に聞いても、みんな分からないと言った。みんな関わらないようにしているのだ。「あなたもあの病気の人達には関わらない方がいいよ」と言われた。
でも私は、根気強くこの国の情報を集めた。
この国のことを、なんとしても知りたかった。
カラ国についてちゃんと知ることができれば、元の世界に帰ることができるかも知れないし、もしかしたらレレさんのように、発作に苦しんでいる人を助けられるかもしれない。
しかし、数日経ってもめぼしい情報を見つけることはできなかった。私は少し疲れてきたから、レレさんに会いに行くことにした。
レレさんは木にもたれて座っていた。
私が来たのを見ると、顔が明るくなった。
「こんなに早く来てくれるなんて。何か新しい情報は見つかったのかい?」
「いえ、それが全然。レレさん以外の『不治の病』にかかっている人も見つかりませんし」
「そうなのか。私も以前に『不治の病』にかかった人がいた場所に行ってみたんだが、見つからなかった」
私達は二人でため息をついた。
「まあ、まだ数日しか経っていないからね。もとよりスムーズにいくとは思っていない。次は『不治の病』以外の手がかりについて、中心に調べるようにしようかな」
レレさんは口に手をそえて考え込んでいた。
「レレさん、町へ行きませんか?」
私が言うと、レレさんはぎょっとした。
「突然どうしたんだい?僕のようなものが町へ行っても、他の人を困らせるだけだと思うんだが……。それに僕は他の人から避けられているし」
「見た目を変えればいいんです。そもそも、レレさんの格好はぼさっとし過ぎです。ハサミとか持ってきたので、身だしなみを整えましょう」
「いやいや!大丈夫だよ。君の手をわずらわせるわけにはいかない。私のようなものはこのままで十分」
「すみません少し髪を切りますね」
レレさんが慌てて遠慮をしたが、かまわなかった。止めにはいろうとするレレさんに、「動くと怪我をしますよ」と声をかけた。レレさんは大人しくなり、されるがままになった。
数十分後、レレさんは別人になっていた。少し伸びていた髭をそり、前髪を整えた。後ろの髪は、短いと落ち着かないと言われたので、肩より少し長いくらいまでカットして、一つにまとめた。長い間、水を浴びることぐらいしかしていなかったので、近くの公園から水をもってきて、石鹸で軽く体を洗った。
「なんかシャキッとしたよ。ありがとう」
レレさんは素直にお礼を言った。
私はレレさんと町へ行った。レレさんは私が初めて訪れた時のように、右往左往していた。
私達は「服」と書かれたお店を探した。レレさんの服を買うためだ。
「来てみたものの、私はお金をろくに持っていないのだが」
服屋に着いたとき、レレさんは小声で呟いた。
レレさんが家を飛び出したときにあまりお金を持っていなくて、ご飯もそこら辺の変なキノコを食べていたらしい。
「大丈夫です。私が払います。私はお小遣いをもらっているので。高いのは無理ですけど」
「いやいや!君にさらに迷惑をかけてしまう!私はこの身なりで平気」
「その服ぼろぼろじゃないですか!所々破けてるし。というかそれ、近くで拾ったものって言ってましたよね?もはや服でもない可能性があります!」
また遠慮するレレさんを、店のなかへと連れていった。
私が好きでやっていることだから、レレさんは遠慮なんてしなくていいのにな。
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