6月 1日木曜日 喫茶店 立候補届を巡る攻防戦3
三重陽子
冬ちゃんは校長室の話については校外でやろうかと言われたのでパフェの喫茶店へ向かった。幸い誰もいなかったので奥の4人席に陣取って今日は3人ともコーヒーを頼んだ。マスターが研究熱心で豆を独自ブレンドしているコーヒーもとっても美味しいのだ。
冬ちゃんの話は結構校長先生の立場と考え方が透けてみるものだった。
「校長先生からは対外的には言ってくれるなって言われた。もし私が選挙で選ばれたら校則に関する事は話を聞きますって」
肇くんの評価は手厳しかった。
「話を聞くというのは交渉に応じるとは同じ意味じゃないからな」
「まあね。それにしても公約を取り消せって言う宮本先生の動きはちょっとびっくりだったけど校長先生の方は穏当だけど何も言ってないに等しいし流石は公民教諭。政治的なタヌキだなあって思った」
そして冬ちゃんは今後の戦略についても触れた。
「制服の見直しは選挙戦を通じて手続き的な筋道を作っていく必要がある。圧倒的な支持を得られて当選したぐらいじゃ学校側も折れない。折れるべきだという認識を持ってもらう条件を見極めてそれをクリアしないとダメかな」
私はふっと今後の動きについて学校側がやりそうな事が見えた。
「冬ちゃんの見つけた信任投票が過去なかった事と宮本先生の反応を考えると学校側が対抗馬を擁立してくるかもね」
「あの先生はやりたがるだろうね」
肇くんも私の意見に同調した。
「それは当初の戦略から言えばもっけの幸い、利用できるから構わない。その相手に負けてるようでは目標達成なんて無理だから」
前向きな冬ちゃん。そうでなくっちゃ困る。
それにしても私達の動きがこんなにマークされるとはちょっと想定外だった。そして大村先輩が意外に骨がある人だったのでちょっと見直した。
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