第67話 誘い

 ヘーゼン=ハイムという男の終わりの始まり。


 彼はすべてを失い、すべてを手に入れようとした。


 そして。


 彼は。


 アシュ=ダールという男にすべてを奪われる。


 最大の夢も。


 最愛の宝も。


 最後のときも。


 人が他人の全てを知り得るというのは傲慢だ。


 たとえ、溺愛する家族であっても。無二の親友ともであっても。永遠とわを誓った恋人であっても。


 万物を司る神であっても。


 運命を嘲笑う悪魔であっても。


 ヘーゼン=ハイムは言った。


 奴を救いたいならば、奴をこの世から消すことだと。


 さあ。


 僕は君に道を示そう。


 ヘーゼン=ハイムという男の宿業と。


 アシュ=ダールという男の永劫を。


 薦めはしない。


 進む道が交われば、ただひとつの道しか残らないのだから。


 どちらにしろ、

 

 進むのならば、


 覚悟をするといいだろう。


 僕?


 僕は君に寄り添い、共に道を歩むもの。


 気にしなくてくれていい。


 僕はいてもいなくても、誰が気にするべくもない。


 道化とでも思ってくれれば。


 さあ、話が長くなってしまったようだ。


 進んでくれ。










‪どちらかと言うと悪い魔法使いです https://kakuyomu.jp/works/1177354054883443984


 

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