第57話 熱



 ヘーゼンは仮面を投げ捨てる。


<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス


「ハハハハハ! 炎熱極大魔法か……芸のない」


<<絶氷よ 幾重にも重り 味方を護れ>>氷陣の護りレイド・タリスマン


 ゼルダゴは、氷の壁を発生させてそれを防ぐ。見事に、それは相殺し、一瞬にして霧散する。


「殺す……殺す……」


 熱い……この心を吐き出さなければなんとかなりそうだ……このドス黒い殺意。どこまでも……


 熱い。


<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス


「芸がない……無駄だと言っているだろう。怒りでそんなことすらわからぬとは、もはや哀れだな」


<<絶氷よ 幾重にも重り 味方を護れ>>氷陣の護りレイド・タリスマン


 まったく同じく、ゼルダゴは、氷の壁を発生させる。


「こんなものか。こんなものが仮面の悪魔ならば、次でーー」


<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス


「くっ……。無駄だと言ってるだろう!」


<<絶氷よ 幾重にも重り 味方を護れ>>氷陣の護りレイド・タリスマン


<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス


「いい加減にーー」


<<絶氷よ 幾重にも重り 味方を護れ>>ーー<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス


「き、貴様っーーーー<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス


 追いつかない。放たれる炎熱極大魔法の速度に、魔法壁が追いつかない。


「なっ……ば、バカな……」


 めちゃくちゃだ。ひとつの属性を考えなしで放つなんて悪手中の悪手。魔法壁の方がコストパフォーマンスは明らかにいい。いずれ、魔力が尽きて魔力欠乏症になるのがオチだ。


 しかし、落ちない。依然として氷陣の護りレイド・タリスマンを張り続けるが、それすら追いつかないほどの連撃。初級魔法の魔法の矢マジック・エンブレムすら越える速度で、ヘーゼンは炎熱系極大魔法を放ち続ける。


 見誤った。


 自分と同等の実力の持ち主だと。魔法の詠唱速度、シールの精密さ、速度、超一流どころではない。心のタガが外れた状態は怪物クラス。自分など足下にも及ばない。


「殺す……殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すぅおおおおおおおおお!」


<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス<<果てなき業火よ 幾千と 敵を滅せ>>ーー漆黒の大炎パラ・バルバス


「うわああああああああああああああああっ!」


 その途方も無い極大魔法の連撃に。


 ゼルダゴの魔法壁は瓦解し。


 巨大な炎に飲み込まれていった。


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