NO.7-15 帆多 丁様 「ヨゾラとひとつの空ゆけば」

【募集テーマ】

 Thema:「音楽」(再企画)

 企画募集日:2019.9.24


【作品名】

「ヨゾラとひとつの空ゆけば」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885031700


【作品概要】


 青年アルルと、黒猫ヨゾラの二人旅。


【感想】

 今回募集した作品のテーマは、「音楽」でした。

 それ故に、こちらの作者様からはご丁寧に、「音楽はメインとしていませんが、この辺りに演奏シーンが出て参ります」というご連絡がございましたので、どれどれと拝読しましたところ、これはすっかり騙されました。本当に音楽メインではございませんし、音楽が全体としての重要なキーポイントになるかと思いきやそうでもなかったのです。

 しかし、テーマが「音楽」のことですので、とりあえずそちらに関して申し上げましょう。


 この作品の、「音楽」といえる部分で出てきた楽器は太鼓でした。しかしどこか別の世界の話ですので、太鼓の演奏とはいえ、きっと我々が知っている太鼓とは少し違うのかもしれません。

 そう考えますと、太鼓の音につきましては擬音語を上手く使っていたと思います。


(引用開始)

 ばららん! てどんと、てどどん、どん。

(引用終了)

 

 このように見てみても、スピード感の違いや音の違いが分かり易いです。また、児童文学などの作品で見られるような、擬音語の生み出し方だったとも付け加えておきましょう。

 しかし、表現としてはいま一つです。

 具体的にお話しますので、19話のところを取り上げてみます。

 そこでは太鼓を叩く人たちの熱気は伝わってきますが、それは「演奏は熱を帯びて続いていく」という言葉で表現されているがゆえに分かることです。太鼓という楽器を選んだからには、それの良さをより引き出してあげた方がいいと企画者は愚考します。

 太鼓とは、打楽器です。それ故に、叩くと大きな音が出ますし、同時に振動も感じます。作者様が太鼓の演奏を生で聞いたことがあるかどうかは分かりませんが、太鼓の種類によっては、腹の底に響くような振動も伝わってきます。

 また、ヨゾラが興奮して、自分もその音に合わせて体を動かしていたくらいです。それならば、演奏がどのように素晴らしかったのかを、周囲の人たちの様子も描き加えたほうがより印象的になったと企画者は考えます。


 さて、「音楽」の部分をここまで話してはみましたが、そもそもこの作品の主なテーマでもありませんので、これくらいにしかお話することはできません。しかし、企画者が推察するに作者様はこの作品自体がどうなのか、という感想をお求めだと思いますので、そちらに関してこれから申し上げます。


 内容は、ファンタジーとしてはありきたりな「魔法」という要素を取り入れながらも、作者様らしいものになっていると思います。「魔法」の要素があるからには、どこか何かの作品と似ている雰囲気が出て来てしまうのは否めないですが、それでもご自身の設定でお話を書こうと言う気概があります。それは、企画者も認めましょう。

 しかし、この作品はそのご自身で練った設定が大切すぎるのか、秘密にしたいことが沢山ありすぎて、大まかな枠でしかお話を楽しむことができません。「第1歩:昔のこと」はあれでよいとしても、ヨゾラと出会ったときの話では、もう少しこの世界の「魔法」の基本的な部分について、アルルが語ってくれても良かったのではないかと思います。

 読者は、この世界の「魔法」について分からず、アルルがどうして河原の傍にいたのかもわからなければ、彼が怪我をしている理由も分かりません。猫はどうやら本当は話せないのに、ヨゾラは何故か話すことができます。しかも、舐めただけで傷も治りますし、何か特別な存在であると言うことは分かりますが、ただそれだけです。それに、アルルは怪我をした理由は分からないのに、これからやるべきことは覚えています。

 とにかく分からないことだらけです。

 確かに、序盤で作中の世界の秘密を語らない作品も沢山あります。しかし、企画者が色々な物語を読んできた限り、その場合は主人公もその秘密について知らないということが多いです。

 もし、作者様がこのまま秘密をできるだけお伏せになって、来たるべき話の時まで取っておきたいと思っていらっしゃるのであれば、文章なりお話の展開なりに今以上の工夫が必要ではないかと愚考します。それがどういうものか、というのは企画者には分かりません。それは、この世界を一番よく知っていらっしゃる作者様にしか分からないことございます。


 それから、この作品は良い雰囲気を出してはいるのですが、雰囲気だけに留まっているような気が致します。確かに、沢山の読者様から支持を得ているので、魅力的な作品なのでしょうが、企画者はすんなりとお話が入っていかず、「第1歩: 昔のこと」に関しては何度か文書を読みなおしてようやく理解した次第です。


 全体として、作品の核となる部分は作者様らしさがあって好感が持てましたが、見えている世界観がぼんやりとしております。また、先ほども申し上げましたが秘密が多いと感じます。それがお好きな方もおらっしゃると思いますが、企画者は第2歩から第7歩の間に何か一つでも開示して下さらないと、それ以上を進めることはできませんでした。


 以上。

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