NO.6-12 無月弟様 「喫茶店で甘い一時を」

【募集テーマ】

 Thema:「喫茶店」

 企画募集日:2019.9.20


【作品名】

「喫茶店で甘い一時を」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888765888


【作品の概要】


 「私」だけが知っている、特別な喫茶店での恋未満のお話。


【感想】

 実を申し上げると、企画主は以前にこの作品を読んでいて、応援と評価を残しています。評価の数は星1つ。それが意味するところが何だったのか、考えながらもう一度読ませて頂きました。


 しかし、作品の良し悪しよりも先に思ったのが、「何故作者様は、今回この企画に参加したのか」という疑問でした。作品の向上をするためでしょうか。足りないところを知るためでしょうか。それとも、多くの方から評価を頂いているので、さらに評価してもらう為でしょうか。

 このようなことをお聞きしている理由ですが、この作品はある意味「これはこれで、いいんじゃないか」と言ってしまえるお話だからです。

 Web小説で多くの方に読んでもらおうとするのであれば、この形式は読者に好まれるでしょう。軽くて、中身も簡単で、短くて、テンポの良い文章です。それ故に、ちょっとときめきが欲しいと思っている人たちが読んだら、それなりの効果が表れることでしょう。

 それ故に、作者様はこの作品を、どこに向かわせたいのか分からないのです。首を傾げる部分もあれば、表現が足りないと思うところもあるのですが、一人称で進む地の文があまりに軽いため、こちらが「こうではないか」と思ったことを全て否定されてしまうのです。

 引用して、その部分を確認してみましょう。


(引用開始Ⅰ)


 ただ腕が見れれば良いって言うんじゃなくて、『腕を捲り上げる』。ここ、重要だから!


 薄っすら見える血管に、筋に、ほど良く肉の着いたその腕につい目が釘付けになってしまう。ああ、野上君の腕、凄く良い。あわよくばいつかは触ってみたい……


(引用終了Ⅰ)


 引用を続けます。


(引用開始Ⅱ)


 コーヒーを用意する野上くんを見ながら、そっと笑みをこぼした。


 やがてコーヒーが運ばれてきて、私の前に置かれる。ミルクも砂糖も入っていない、真っ黒なコーヒーが。


(引用終了Ⅱ)


 引用Ⅰと引用Ⅱを比較してみてください。

 引用Ⅰは情報量が多いです。腕まくりした腕を見て、主人公が血管と筋肉のことまで言うほど細かく書かれています。しかし、引用Ⅱは情報量が少ないと思いませんか。主人公は野上君がコーヒーを淹れるところも格好良いと思っていたはずなのに、「コーヒーを用意する」で終わってしまっています。読者は「カウンター席に座っているのに見えないのだろうか」と首を傾げます。

 また、コーヒーが運ばれて来た時のカップはどうですか。主人公がこの喫茶店が好きなのであれば、そういうところにも目が行くような気がするのですが、これを地の文が否定してくるのです。

「主人公が筋肉について詳しいのは、筋肉フェチだから」

「カップについて触れないのは、食器とかに興味のない子だから」

 と言うような具合です。

 このようになってくると、作品そのものの魅力やその中に秘められた技術について語ることはできません。この作品がで、面白さを決めるしかないのです。


 ただ、もし仮に、作者様が本当に恋愛を題材にした、書籍化できるような作品を目指しており、その一環として企画主から感想を貰いたいと言うのだとすれば、この作品のようなお話が書籍化されても企画主は買わないでしょう。

 何故なら、主人公である「永井」と先輩である「野上」の恋未満の模様を描いているはずですが、一人称が軽いせいで深みがまるでないからです。

 また、企画主の勘違いか分かりませんが、作者様はご自身が書くのが得意な部分と苦手な部分があるような気が致します。先ほどの筋肉の描写とコーヒーを淹れたときの場面が、そう感じさせるのです。


 企画主が以前この作品を読んで評価したのは、Web小説であるが故の軽さがそこにあったからのようです。しかし、星1つとしたのは、やはりその当時もこれは単に甘さを詰め込んだだけのものであり、と思ったからだと考えます。


 以上。

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