カルテNo.6 人生って1回きりだから悔いなく今を生きよう

リリーナちゃんは少し顔を俯きながら伏し目がちになってしまう。恐らくリリーナちゃん自身も思っているよりもリハビリが上手くいってないのが分かるんだ。


「大丈夫、リリーナちゃん。」


「え?」


私はリリーナちゃんの前にしゃがみながらリリーナちゃんの両手をそっと優しく包み込む様に握ってから続けて言う。


「リリーナちゃんはリリーナちゃんのペースで頑張れば良いの。それまで私がとことん付き合ってあげるわ。」


「本当?」


「本当よ。じゃあ、指切りしようか?」


「指切り?」


「そう、指切り。約束を絶対に守るって言う誓いみたいなものよ。私とリリーナちゃんの小指をこうやってやって。」


「うん。」


私とリリーナちゃんはフック状に曲げた小指を互いに引っ掛け合い、その際、指を絡め合った状態で上下に振る。


「ゆびきりげんまーん、嘘ついたら針千本のーます。ゆびっきた。」


「これが約束?」


「えぇ、約束よ。これで絶対に私はリリーナちゃんとの約束を守るわ。」


すると、リリーナちゃんの瞳からポロポロっと涙が落ちてくる。え?何か私、泣かせるような事した?やばい、どうしよう……


「ど、どうしたの?」


「え?あ……ご、ごめんなさい!どうしてだろ?私でも分からなくて……何か桃香先生と一緒に居るとね。凄く暖かくて、優しくて、心の底からぶわぁっと溢れ出てくる様なものがあって……あれ?私、何言ってるんだろ?変な私……」


リリーナちゃんはどうして、涙を流しているのかは私には分からない。でも、泣く事は悪い事じゃない。


人間というのは喜怒哀楽の感情があって、怒ったり、泣いたりする事はあんまり良いイメージを持たれないんだけど。


だからと言って怒ったり、泣いたりする事を無理矢理に封じ込めると自分が知らないうちに笑えなくなってしまうのだ。


だから泣きたい時は泣いても良い。怒りたい時は怒っても良い。だけど、その分、楽しい時は思いっきり楽しめば良い。嬉しい時は全力で喜んで良い。だってそれが人間だからさ。

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