これは【疼痛緩和肢位（とうつうかんわしい）】と呼ばれるもので痛い部分を庇おうとして楽な姿勢を取るという事になる。つまり肘を痛めている為、動かそうとして身体が動き、顔の表情にも泣きそうな顔になるって事になる。

やっぱり避難途中に手を引っ張りながら必死に逃げようとした為、肘が抜けてしまったのだろう。それくらい小学校に上がる前の子供は骨が柔らかいのもあるが骨が成長段階なので形になってないのだ。

「お母さん。娘さんは肘内障って言いまして、娘さんくらいの年齢だと骨が柔らかく、骨が成長段階の途中なので、腕を引っ張りする事で肘が抜けやすくなるんです。」

「は、はぁ……」

「このから治したいって思いますので、すぐに終わりますので宜しいですか？」

「は、はい。お願いします。」

「お嬢ちゃん。すぐに痛いの治すから少し我慢してね。」

「う、うん！」

「よし、良い子だ。」

私は女の子の右肘付近を左手で把持して肘の関節が抜けているのを確認して肘を外開きから内開きを繰り返していくとクリック音を触知してから肘を曲げる。

「痛いよ……うぅ。」

「はい終わったよー。頑張ったね〜。」

クリック音を触知した時点で抜けた肘は元に戻っているが、私の師匠曰く技術のパフォーマンスとして見せる事も大事だそうで、肘内障は言ってしまえば簡単に治ってしまうみたい。

「お母さん。もう大丈夫ですよ。娘さんの右腕は普通に使えますので大丈夫ですよ。」

「え？！本当にですか？！」

「はい。あとは腕を強く引っ張るとまた肘が抜けやすくなりますので、気を付けてください。バイバイ。」

「ばいばーいお姉ちゃん。」

女の子は右手でばいはーいって手を振るって事は女の子の右肘の肘内障は元に戻ったという証拠だ。

さて、残るギックリ腰と足の捻挫らしきガチムチのパラスメントの人達をどうするかだよね。

待合室は激混みだからとても待つってなると数時間は掛かるような気がする。何処の世界も病院っていうのは待ち時間が長いようね。

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