カルテNo.1 30歳処女。魔法使いになる。

私は続けてキャビンに言う。


「ジャングルで獰猛な奴に遭遇した場合の対処法は……」


「対処法は……」


キャビンが固唾を飲み真剣な声で聞く。そして、私は崖に向かって走り出す。


「死んだふりよぉぉおおーー!!」


「桃香様っ!!それフリじゃ済みませんし!!それは迷信ですの!!!」


崖に飛び込もうとする私をキャビンが制止して私は再び獰猛な植物の群れがいる崖とは反対の方向へ身体を向ける。


「じゃあ、私はどうすれば良いのよっ?!前には人を喰らう獰猛な植物。後ろは断崖絶壁の崖だし。」


今の私は、人生の中でかなりテンパっている。それもそうだ、いくら市民権獲得の試験とはいえ私は命の危機が迫っている。


普通に獰猛な植物に戦いを挑むだけ無謀な感じがするくらいに恐すぎるよ。


「やれやれ、桃香様には困りましたね。オズ様から授けられたロウソクの力を使いましょう。」


「え?これの事?!このペン型ロウソクを急に使えって?!」


「今、桃香様をこの危機から脱出させるためにはこうするしか無いのです。」


キャビンがどうやら、この絶望的で危機的な状況を脱出させてくれるみたいだ。


「わ、分かった。」


「まずはこのペン型ロウソクを振りかざしてから桃香様は『ヴァージン・メタモルフォーゼ』って叫びます。」


「えっ?!」


「どうなさいましたか?桃香様。」


「ほ、本当にそれで大丈夫なの?」


「はい。私を信じてください。」


この生死の瀬戸際の中で他に選択肢はない。今はガイコツメイドのキャビンの言葉を信じて行動するしかない。


「準備は大丈夫でしょうか?桃香様。」


「いつでも大丈夫よ。キャビン。」


「先程も仰ったようにペン型のロウソクを天にかざして『ヴァージン・メタモルフォーゼ』と叫んでください。宜しいですか?」


「えっ?!それだけで良いの?!」


「はい。そうすれば獰猛な植物達は桃香様に成す術なく、蹂躙され絶対服従を誓いますでしょう。」


本当に……本当にそれだけで良いの?私にはキャビンの言うことに疑問を持つけど、さっきも言ったけど、どうやら考えている余地は無いようね……


何故なら獰猛な植物の連中が餌をお預け状態でイライラして私にジリジリと近寄ってくる……


「こうなれば……ヤケクソよっ!!」


まぁ、良いわ。私は私を主人と言うキャビンの事をを信じるっ!!


「ヴァージン・メタモルフォーゼ!!」


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