ホワイトデー

三月十四日


ホワイトデー。そう、ホワイトデーだ。


どうしよう。結局決まらなかった。麗華のバレンタイン以上の物が思い浮かばなかったんだよな。

一応、キャンディーは自分で作って用意したけれど。


「夏樹はどうするんだ?」

「俺は、もう朝にあげた」

「え?もう?なにあげたの?」

「ん?マカロン」

「へぇー」


こいつみたいにさらっと渡せたらいいんだけど、そうはいかないし、バレンタイン以上のお返しはしたくなってしまう。どうしようか。



学校を終えて、麗華と一緒に帰る。


麗華は昼休み、若干そわそわしていて可愛かった。……麗華もこんな気持ちだったのかな?


「あのさ、麗華」

「な、何かな?ゆう君」

「一応お返しはあるんだけど、僕、麗華以上のお返しがしたくて」

「う、うん」

「でも、それが分からなかったからさ」

「うん」


家に着き、ドアをくぐりの鍵を閉める。今日は姉さんは飲み会で遅くまで帰ってこない。


「僕を麗華の好きにしていいよ。何でも言って?今日は麗華のためなら何でもするよ」

「え?え!?な、なんでも?」

「うん、なんでも」


麗華の髪をそっと撫でて、呟く。


「ほ、ホントに?」

「うん。ほんとに」

「じゃ、じゃあ...........ゆう君」

「うん」

「あの、あのね...........私にいっぱい甘えて欲しいの」

「...........へ?」


なんか気が抜けてしまう。麗華の事だから、エッチなお願いしてくると思ったんだけども...........


でも、甘えるって少し難しい。……というか気恥ずかしい。でも、なんでもやるって言ったからな。


深呼吸して、麗華に近づく。


「麗華。抱きしめてー」

「っ...........!!うん。ほら、ゆう君こっちおいでー」

「麗華ー」


麗華が腕を広げて待っているので、そこに収まりに行く。


「もっと、ぎゅっとしてー」

「うん、うん。もっと、もっとしてあげるね。もっと甘えていいからねー」


頭を撫でられ、耳元でそんな言葉を呟かれ頭も、心も溶かされてしまう。


「れいかぁー。好き」

「私も好きだよぉー。どうしてほしいのかな?」

「キスしたい」

「はーい」


そう言って、キスをする麗華。たっぷり長く、息継ぎができないくらいに。


「麗華、少し苦しい」

「ご、ごめんね。気持が抑えられなくて」


ゆっくり頭を撫でる。


「あ、そうだ。お風呂。私と入ろっか」

「う、うん」


今日は、麗華に尽くす日だから。...........別に僕が一緒に入りたいわけじゃない。


「じゃあ、服脱いじゃおうねー」

「う、うん」


ゆっくりと、ゆっくりと、ボタンが外されていく...........



...........





そのあと何があったかは言わずもがなである。でも...........麗華にはあんまり甘えすぎないようにしようとその日、心に誓った。

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