第79話
「あのさ、麗華」
「ふふっ。へへ、ゆうくーん」
僕に頬擦りをして全然話を聞いてくれない麗華。その麗華の頬をむにっとつまんで引っ張る。
今いる場所は僕の部屋だ。
「麗華は僕の話聞いてくれないの?」
「ごめん、ゆう君。私いますごく幸せでもうどうにかなっちゃいそうなの」
「それは..........僕もですけど」
「もぅ.......ゆう君!!大好きだよ」
「僕も.......じゃなくてね、これから決まりを作ろうと思うんだよ」
「何の?私たちに決まりはなんて必要ないよー。私たち学校公認のカップルなんだよ?」
そうだ。僕たちは、何故か、いつの間にか付き合っていることが周知されており、なんか、みんなからたくさんのおめでとうや、やっと付き合ったのかと言う声も多数聞いている。.......すいません。ヘタレで。
そこでだ。
「学校公認のカップルなら節度を守らないといけないと思うんだよね?」
「私たち、節度のいい普通の関係をだよぉ」
「なんか周りから見たら、そうじゃないみたいんだよ」
特に夏樹には言われた。おまえら四六時中いちゃつきすぎ。教室中甘い匂いが散乱して、どうしようもないんだよ。っと言われ、委員長には、教室でいちゃつかないようにと強く言われた。
「だから、決まりを作ろうと思うんだ」
「えぇー。今でさえ私まだ満足してないよぉ。これ以上下げるなんて無理だよぉ」
「だーめ。それは二人きりですること」
「でも、今は二人きりだから、いっぱいイチャイチャするー」
僕の上に座っている麗華が向きを変えて、跨った形になる。そのまま抱き着いて僕の胸に顔をうずめ、そのまま髪を撫でると嬉しそうに身をよじる
「まずね、昼休み以外は僕のクラスに来ちゃダメ」
「……やだ」
「二つ目はね、昼休みも二人の時以外は抱き着く以上のことしちゃだめ」
「.......やだ」
「最後は、登下校の時一緒に帰ろ?用事があっても待ってるから」
「うん!」
最後だけは笑顔で頷いて、ニコニコしている僕の彼女。……うーん。どうしよう。先輩には悪いけれど、みんなに迷惑かけるのもなんだか、嫌だし。というか、委員長と夏樹と、それと夕夏先輩から頼みこまれているから、普段の僕たちは相当まずいんだと、気付いた。と言うか目が覚めたというか。でも、まぁ.......麗華が可愛くてしょうがないのは、変わらないんだけどさ。
「どうしてもだめ?」
「..........やだ」
いやいやと首を振る麗華..........も可愛い。だけど、どうしよう。..........。..........。.............。一つだけ思いついたけど............なんか今の麗華ならというか麗華なら喜びそうなんだよなぁ。まぁ............一回やってみるか。
「どうしても?」
「どうしても」
「じゃあ............言う事聞いてくれない麗華にはお仕置きが必要かな」
「え?」
耳元で囁きすぐ傍にあった彼女の耳たぶに軽く歯を立てる。触感は柔らかく、さっきキスをして火照った唇に、耳たぶの冷たさが心地よい。
瞬間—
「ひぁぁああぁ」
ギュッと僕にしがみつきびっくりしたような、嬌声に近い声を上げる。
少し落ち着き、こっちを彼女が上目遣いで見てくる。その目は少し涙目のような、とろけた顔をしている。
「もっと............して?」
「じゃあ、ちゃんと言う事聞いてくれる?」
「うん。ゆう君との約束ちゃんと守るから.........お仕置きして?」
「分かったよ。でも軽くね」
「うん♪」
次の日から、ちゃんと我慢してくれるけど涙目なので胸が痛かった。
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