第104話
「確か持ってきてたな」
僕は鞄の中から、ステンドグラスを取りだした。
透明のステンドグラス。
「さあ、作るぞ」
僕は、彫刻は得意ではない。
でも、僕にはこれしか思いつかない。
≪俺たちは、何をすればいい≫
「その本の、薔薇のページを広げてくれ」
≪了解≫
「疲れるだろうから、交代でやってくれ」
僕はステンドグラスに、薔薇をほりはじめた。
薔薇は難しい。
初心者には、上手く出来ない。
色を塗った方が早いかもしれない。
でもそれでは、意味がない。
僕は、薔薇をほり続けた。
竜とファントは、食事を運んできくれた。
ダイルとひとくんは、ドアで見張りをしてくれた。
ポチは、起こしてくれた。
みんなが、協力してくれた。
ダンスくんも、応援してくれている。
他の子たちも、力になってくれている。
こうして、手術当日の朝、仕上がった。
不器用ではあるが、薔薇の花が刻まれた。お手製のステンドグラスが・・・
さあ、行こう。
さくらの元へ・・・
結果として、マイナスに出ても、それでいい。
玄関を出る。
「泰道くん」
みずほさんがいた。
「みずほさん?」
「君の考えている事は、わかるよ。さあ、ニコンに乗って。
急ごう、さくらのところへ。
君を待ってる」
ニコンくんに跨り、僕はみずほさんと病院へと向かった。
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