第47話

「じゃあ、行くよ!泰道くん」

「OK、みずほさん・・・って、さくらは行かないの?」

僕の発言に、ふたりはキョトンとした。


何か、おかしなこと言った?


「何?泰道くん、私がいないと寂しいの?」

「そういうわけでは・・・」

「照れない照れない。素直にそういいなさいよ」

さくらは、笑うが・・・


勝てないな、絶対。


「泰道くん、大丈夫だよ」

「何がです?みずほさん」

「さくらは、どこへも行かないよ」

だから、違います。


「後、敬語はいいよ。さくらが言わなかった?」

「いきなりは、できません」

「まあ、おいおいね。では、泰道くん、乗って」

馬の、ニコンくんを軽く撫でる。


「本当に馬で?」

「うん」

真顔だ。


仕方なく、馬に乗る。

初めてだ・・・


「泰道くん」

「何です?みずほさん」

「もう少し、太ろね」

ここにいたら、太れません。


「じゃあ、しっかりつかまって」

仕方なく、みずほさんの腰に手をまわす。


先日の、さくらとのバイクのツーリングといい、逆だな・・・


「ニコン、ゴー」


みずほさんの掛け声と共に、いななきが響く。


そして、ニコンはパカランパカランと、駆け抜けていった・・・

・・・と、さくらには、見えたと思う。

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