君がいるだけで

勝利だギューちゃん

第1話

「何にもない」


第一印象がそれだった。


僕は都会生まれの、都会育ち。

すっかり、その便利さになれてしまっていた。


しかし、体をこわして、しばらくは入院していたのだが、

「空気のいい所で、静養したほうがいいだろう」と、ここへきた。


空気のいいところなので、多少の不便さは覚悟していた。

覚悟はしていたのだが・・・


さすがに、何もなさすぎる。


まあ、緑が豊かで、海と山に囲まれて、空気も奇麗。

オアシスには違いないのだが・・・


「僕は、やっていけるかな・・・」


さてと・・・

静養所に向かおう・・・


たしか・・・


迎えに来てくれもいいのに・・・


地図を頼りに歩く。


僕は、スマホは持たない主義だった。

はまると怖いので、避けていた。


それが、ここで活かされるとは・・・

もし、使っていたら、別の意味でオダブツだったな・・・


タクシーは、おろかバスもない。

車も走っていない・・・


でも・・・


「すぐにわかった・・・」


遠くの高台にある、ペンション風の建物・・・

あれが、静養所だな・・・


そこに向かって歩き出した。


さあ、新しい生活の始まりだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る