第213話冬

 もう真っ暗である。ただいま5時20分あたり。夕方の日の落ちるのが早くなったものだ。残業がなくなって定時にトボトボと帰る。うれしいような、悲しいような。複雑な心境だ。最近本当に残業がない。帰る途中で居酒屋によることもない。真っすぐに帰る。家に帰ると、大抵はすぐ風呂に入る。やはり日本人たるもの、風呂は欠かせない。そして缶ビールとちびっと飲む。それから夕食の準備だ。昨日は鍋をした。

 いつものように味ぽんとゴマダレをミックスしてのしゃぶしゃぶ風鍋である。私の体は、豚肉と白菜と人参とねぎとシイタケでできているのである。それほど、鍋ばかり食べている。2日間は食べられるので楽なのである。だから今日も鍋の残りを食べる。月曜日は特に見たいテレビ番組がない。なので、録画を見るだろう。京極夏彦の対談が見たい。少し見たがもったいないので、途中でやめているのである。今日は帰ったらそれを見よう。それから少し本を読もうかな。ずいぶん前に流行った、「羊たちの沈黙」をこの前kindleで買った。レクター博士の深い洞察に感銘を受けつつも人を殺さざるをえない人間の業というものを考える。

 人間って結局は、自分の考えどおりに生きるのではなく、運命によって筋書きはもうできているのだろうな。そんなかなしい生き物である人間というものに深くほれ込んでいる。やはり、人間について考えることが一番楽しい。

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