第163話不倫報道

 巷ではちょくちょく不倫報道が流れている。もう毎度お馴染みの光景だ。週刊誌で書かれてそのあとに会見なりコメントなりで謝罪する。よくもまぁ次から次へと懲りないものである。

 それにしても、芸能人であるということは常にある種の潔癖さを要求されるものだ。その人のイメージが損なわれることがかなりのダメージになるからだ。謝罪したところでそのイメージの損失は避けられないだろう。

 マッチングアプリなるものでは、けっこうな割合で既婚者の男性が独身だと偽って女性を口説くらしい。不倫はどうやら皆程度の差こそあれ、そこそこ普通にやっているらしい。

 ごく当たり前のように行われる不倫。しかし、バレれば修羅場が待っている。それなのに皆止められない。なぜなのであろうか。

 それはそれほど性欲が強くなければ、人間が種を存続させることができないからであろう。生命にとって自己保身の次に重要な種の保存。道徳的にいくら罰したところで、不倫がなくならないのはそう考えると至極当たり前の行為に思えてくる。

 不倫が当事者同士以外の者から見ると滑稽にしかみえないのは、修羅場を見て留飲を下げているからともいえるし、自分とは関係のない修羅場を楽しんでいるからともいえる。芸能人が必死に謝罪すればするほど、「本当はそんなに悪いと思っていないのでは」と勘繰ってくすくす笑う。それが人間というものだ。

 「自然の摂理」の前では皆平等にそれにひれ伏すしかないのだろうか。

愚かな行為の裏にも「自然の摂理」が常に働いているようである。

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