第144話笑い
芸人さんからテレビでよく聞くのが、自分は昔人見知りでコミュニケーションが苦手だったが、笑わせることでその壁を乗り越えたと。
笑いには人との距離を一気に近づける効果がある。ともに笑っているとなんともいえない一体感がある。
しかし、笑わせると笑われるには相当な違いがある。前者は能動的で前向きにとらえられるが、後者は受け身であまりにも惨めさがつきまとう。
笑いとは多様だ。笑いとは何かと定義しようとするとそのあまりの多様さに愕然とするしかない。だが、一つ言えるのは、笑いがあるから日々の苦痛を乗り越えられるということである。
先日、滝沢カレンというタレントが出演した番組を見た。この人、ちょっと話す日本語が変である。本人には笑わせる意識があまりないのだが、聞いているほうは面白くてしょうがない。この場合は、笑わせるというよりも笑われているという感覚に近い。だが、惨めさはみじんもなく、本人も笑われていたって快活である。
日常生活においてなんだか変だが笑えるということは、救いだ。その変であることをネガティブにとらえて邪魔な存在だと切り捨てると何とも味気ない生活になる。
変わっている、もしくは変であることを積極的に笑い飛ばす。そうすればもっと世界は鮮やかな色彩で彩られるだろう。
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