第135話趣味

私には人に誇れる趣味がない。読書は好きだが、内容はすぐに忘れる。音楽も好きだが、すぐに飽きる。映画、漫画も見るが感想に奥行きがない。まぁ、なんともとりとめのない関心しかない。

 しかし、それらを総合して過ごしている時間はなんとも有意義である。いい映画を観ると一日を得した気分になるし、いい本を読むと賢くなったと錯覚することができ、いい音楽を聴くとこころが躍動する。要は割と簡単に幸福感に浸れる人間である。それはそれでいいのだが、そうであるとまた問題も生じる。考え方に奥行きがなく、深く悩まないために同じ間違いを繰り返したり、簡単な問題でよくつまずく。人間、多くの歳月を費やしても根本的な性格は変わらないらしい。表面上は変わったように見えても、ある危機が生じた時などには、同じような対応しかできないものだ。

 とはいえ、こんな自分をいたく気に入っている今日この頃である。

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