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――急げ、急げ……!


なるべく音を立てないよう に、しかし素早く扉を閉めたミツコは、皿を机の上に置くと急いでベッドに飛び込んだ。


バクバクする心臓を抑え込むように、布団をギュッと抱き締める。

全く落ち着く気配のない、心臓の音。

だが、この心拍数の速さは 、家族に見つかる恐怖ではない。


「もしかして私、ワクワクしているの……?」


思いもよらない出会いと、最後のヒヤッとした冒険に、どうしようもない嬉しさと高揚感が込み上げてくる。

彼女は初めて家族の目を盗んで、自分しか知らない秘密を手に入れたのだ。


「ふふ……ふふふ……ちょっと、楽しかった」


ベッドでくるりと転がると 、その嬉しさを噛みしめる ように、もう一度布団を抱き締める。


それが初めての友人――音羽うつぎとの出会いだった。

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