私が小学生ぐらいの頃、うちは畑を耕していました。農家とかではなく、自分たちで食べるようにを作っていたんですね。結構広くて一軒家が建つぐらいの敷地に畝を作っていろんな野菜や果物を作っていました。


 その畑の奥の真ん中に桃の木を植えていました。最初は小さかった木も年を経るごとに大きくなり、大きく枝を広げていきました。桃も多くはないけれどもちろん採れました。実が付くと白い紙袋をかぶせていました。虫が付かないようにするためだと思います。


 お店で売っているものより、小さくて甘くなくて硬かったですけど、桃は美味しかったです。今はもう畑は潰されて建物が建っています。でも、今も母と言います。あの桃の木は取っておけばよかったね、と。どこにやりようもないのですが、そんなことを言います。


 もう一度あの桃が食べたい。もう食べられない桃が食べたい。

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