最後の魔リカー勝負! 盛りのデスロード!

「チサちゃん、彼女は、ヨアンさんなんだよね?」


 気配からして、ヨアンさんとククちゃんであることは間違いない。


 ククちゃんの姿は、いつものゴスロリではない。青紫のセーラー服だ。スカートがやけに短い。


 ヨアンさんはピンクの特攻服を着ていて、髪も金髪に染めていた。大きな胸にサラシを撒いている。


「あれじゃあ、まるでLOの【セーラ・フーク】と【ソー・ローネ】じゃないか!」


 ヨアンさんがソーで、ククちゃんがセーラさんのコスプレっていう違いはあるけれど。


「うん。でもあれは紛れもなく、ヨアンと、玉座のクク・ブリリストリッシュⅣ世。ホンモノの」


 ヨアンさんとククちゃんは、神の戦車【ハメルカバー】のシモベみたいな格好をしていた。LOでも、勇者側でもないのに。


「まさか、ハメルカバーに」

「ハメルカバーの刺客は、とっくに倒したぜ。周りを見てみな」


 チサちゃんと共に、足元を見る。


 ククちゃんたちの周りには、おびただしい数の天使たちが倒れていた。死んでいるわけではないが、ノックアウトされている。


「ハン。このに及んで、天使共がこんな世界にまで攻め込んできたぜ。だから、ごあいさつしてやったのさ」


 木刀で肩を叩きながら、ヨアンさんは首を鳴らす。


「我を忘れて、真の実力を示した」

「そのとおり。で、あんたらが最後ってわけだ!」


 ヨアンさんが、次のステージまでの道を示す。その道は、まるでレース場のような。


「私は、レースに出られなかったんでね。ここで決着をつける。名付けて、『盛りのデスロード』だ!」


 やはり、レースで対決のようだ。さすが神の戦車である。


「融合!」


 ククちゃんも、ヨアンさんと融合する。マミちゃんとケイスさんコンビや、ネウロータくんとトシコさんコンビと同じように。


「これが私らの操る神の戦車。【シモネタモノガタリ】だよ!」


 現れたのは、二人乗りのバイクだ。しかし。


「ハンドルがない!」


 バイクにはヘッドがたしかにあるのだが、ハンドルらしき部分が見当たらない。


「こいつで動かすんだよ」


 二人共、エレキギターを抱えている。ギターはマフラーのように、バイクの後方と直結していた。


 ジャーン、とククちゃんがギターをかき鳴らす。


 マフラーから、火柱が上がった。マシンに命が宿ったかのように。


「ククちゃん、キミも、ヨアンさんがこんなになってもいいの?」

「みなさん、ヨアン様のお気持ちを、汲んでくださいませ」


 やるしかないのか。


「勝とう、ダイキ」

「うん。ヨアンさんの目を醒まさせるにはこれしかないよね」 


 ボクたちも、愛車のハチシャクを召喚した。以前のレースで使った、ボクたちの車だ。

 ヨロイが再び、ハチシャクの形を取っていく。


「え!?」


 現れたのは、いつものハッチバック車じゃない。


 白と黒のバイクだった。


「ちょっとまって。ボクたちの乗り物が、白バイだって!?」

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