第139話 みーちゃん泣いちゃう

 俺と姉妹でみーちゃんが居る応接間に向かう、途中で猫メイドさんに、ミルク頂戴してきた、戦いの後のミルクは格別だぜ。


「ピー」なにと、たたかってたんだ


 色んな何かだよ葛藤とか不安とか怒りとかストレスとかベスとか……


「きゅる」すなおに、べすでいい


 何でだろう、前はあんな変態じゃなかったのに、仲間を失う悲しさとはコレか。


「ピー」かってに、すてたし


 どうやって仲良くすんの!俺が仲良くすると、君達も強制で仲間ですからね!?


「きゅる!」そうだったーあぶない!


「ピッー!」それはいやだっ!



「仲間でいて欲しいけれど無理も言えない、何て難しい立場におられるのか王子は……」


 いつの間に戻ったの、ビックリ!って、そこ!何真剣に考えてるの?意味なし!


「か、考えますよ?宰相としては、あれを次の王で良いのか、継ぐ時には治ってる可能性とか、結局三兄妹まとめて次の王たる教育をさせるべきなのでは!?とか。」


 大変ですね?


 もう、そんな事は勝手にしてよ、関係ないもの、ベスが継いだら狼族の仲間にでもなるわ。


「そ、そんな……王妃様にお怒りに……」


 自業自得というのだよ。


「ぐぅーもっと良識のある、素晴らしい先生を付けなければっ」


 以前の先生を変態に分類するのもどうかと思うよ?


「あ、そうですよね、普通のお方でした。」


 あれじゃん?変態と変態をくっ付けてみたら、新しいナニカが産まれる可能性が!


「……それも考えてみますね。」


「ピー」おつかれのようだ


「きゅる」あれはしかたない



 応接間まで来ると、扉の外に王様が居た、何してんですか?


「五月蝿いから、出ていけと……」


 慰めようとしたんだろ?でもな、黙って欲しい時もあるんだよ、大丈夫じゃないのに大丈夫とか?意味分かんないからね?


「そ、そうなのか……ポチ殿は物知りだ。」


 知らなすぎーだからベスが、出来るんだよ。


「そ、そんな事はないぞ?宰相?息子は何処だ?狼族に接触したのだろう?」


「ああ暴走しないように閉じ込めました。」


「何が!あったんだ!?」


 パパ上、変態は何処にいっても変態なんだって事だよ?癖は早々変えられないのです。


「最早普通に変態なのか……むむっ!継承どうしよう?宰相君」


「三兄妹まとめて教育、優れたものが優勝で最早いいのでは、と思います。」


「そうだな、ベスだけではないのが救いだったか、まだ終わらん、終わらんよ、この国は!」


 あっついー無駄に熱い、火傷して全部黒焦げとか、ならないと良いよね?


「ポチ殿……わしはもっと未来を夢見たい」


 寝てから見るほうが現実を受け止めやすいんじゃないかな?


「ううっ宰相よぉ!何故!何故なのだっ!」


「分かりませんが、もう手遅れなんです…」



 勝手にドラマしててよ、やーね?そーちゃん扉ノックして?まだ居るよね。


「きゅる」こんこんーいますか?


 ノックしてって言ったのに言葉だった、ノリの癖が凄いんじゃ!


「ピー?」ぎりぎり?あうと?


 セーフって事で、扉の向こうから小さな声でどうぞ、と声がする、寝ちゃったかな?


 そーちゃんが器用に扉に飛び付いてカチリと開ける、リスみたいだったらイケるのか!


 ドアノブに飛び付いたままキィと静かに開く扉と、ドアノブに飛び付いたままのそーちゃんがゆっくり移動する様を見る、シュール。


 部屋の中にはママ上に抱き抱えられて仰向けでスヤスヤ眠るみーちゃん、まるで赤ちゃんに戻ったみたいだ、俺は不甲斐ないのぅ。


「ピ?」おんなになる?


「きゅい」きんもー


 ……シリアスさんが来る前にぶち壊したよ


 取り敢えず、静かに参りましょう、ソソソとママ上とみーちゃんの元に、ママ上がソファーに座るので皆でソファーに座ります。


「きゅーちゃん?あなたの事呼んでたのよ?離れちゃ駄目じゃないの。」


 え!マジすか?ベスの帰還につい……


「……あの子ね、大丈夫よ?何としても阻止するから、生死は問いませんわ。」


 ぶっちゃけすぎ!


「ほら、抱っこしてあげて?ママはもう居ないの、寂しくてもね、今はお兄ちゃんが居るもの、姉妹も居るし寂しさはずっと持ち続けるものではないのよ?そうでしょ?」


 うん、千代さんも同じ事言ってた。


 みーちゃんを差し出されたので首根っこ咥えて抱っこで囲う、起こさない様に優しく毛繕い、そーちゃんとぴーちゃんが無理矢理入ってくるので隙間を開ける、ぎゅうぎゅう、だけどそれがいい。


「ふふ、良いわね、美しい兄妹愛は、はぁ。」


 ちっとも美しくない兄妹愛に困惑ママ。






「にゃ!出たいにゃよ!何で駄目なのにゃ?ポチに会いに行くにゃよ!」


「お目当てはポチ殿ではないでしょう?」


「にゃ!?そ、そんな事ないにゃ?」


「駄目です、ポチ殿から許しが出るまでその結界とやらに入ってて下さい。お話は出来るようにしてくださいました。」


「にゃー父上は何処にゃ!埒があかないにゃ」


「暫く会いたくないと、言っておりました。」


「は、母上はどうにゃ?」


「とてもお怒りになっていました。」


「あにゃにゃ!!怒ってるのにゃ……」


「私と常識のお話をしましょう、王子は変態なんですか?」


「いきなりにゃっ宰相はオカシイにゃよ?にゃは変態なんかじゃにゃいにゃ!」


「にゃーにゃー五月蝿いとは聞いてますが、やはり鬱陶しいですね、そろそろ止めてみては?第一継承者なのですから、しっかりして下さらないと、王様にはなれませんよ?」


「五月蝿いのは酷いにゃし!止めないにゃ!それに、にゃ……にゃは王様にならなくてもいいなゃよ?本当にゃ」


「ほう?何故ですか?最近まで乗り気でしたでしょう?訓練も頑張っていた様ですし?」


「にゃはポチみたいに自由に生きたいにゃ!」


「……下心が見え隠れしてますが?」


「にゃんの事にゃし?姫は関係ないにゃ!」


「誰も姫のお話なんてしてませんが?」


「にゃっし!うっかりにゃ!」


「……頭がオカシクなりそうなので、常識については先生をお付けします……では。」


「まっ、待ってにゃ!置いてかないでにゃ!」






「という事で暫く閉じ込めますので、城でご自由になさって下さい。」


 懲りないなあの変態猫!


 夜になって、寝ているみーちゃんを除いて審議中……やはりベスには会わせてはいけないと決心するのであった。


「ピー?」どうくつ、せいかつでもいい


「きゅる」そうだね


 同じ城のなかに居るのは不安だ……


「そ、そう仰らずに、王妃様が悲しみます」


 そう言われてもなー?ママ上しか信用ならないからなー。


「……私は何故省かれたのですかね?」


 宰相はどっちかと言えばパパ上派だから?


「いえいえ、そんな派閥ありませんて。」


「ピー」なら、ようすみる


「きゅい」かんしたいしょうがふえた


 ママ上以外は監視だな、宰相っていう職業上、やはり分配はパパ上だろうし?


「そ、そんな事は無いですって!私だって苦労してるんですからね!」


 きゃんー宰相がプチ切れ。


 奥の部屋で寝かせていたみーちゃんがミーミー泣いて呼んでいる!うっせーんだよ!


「す、すいません……」


 皆でミーミー泣いてるみーちゃんの元に行くとベッドの上でウロウロして皆が居ないと泣いている!誰か置いとけば良かった!


 みーちゃんっ!にぃに達ちゃんと居るよ!


「ミッ!?」にぃに!?


 ピョーンと飛んで来るのでキャッチ!二足で踏ん張るが倒れそう!そーちゃんとぴーちゃんが後ろを支えてくれる、危ない……。


「ミァ?ミァ」なんでだれもいないの?おいてかないでほしいの……


 地面に下ろして皆でゴメンね?ベスの事話してたからみーちゃん気分悪くするんじゃないかって心配だったの。


「ミゥーミィ」へんたいはいやなの、でもそばにいてほしいの、みんな


 分かったよ、ベスは監禁してるから、此処で暫くゆっくり過ごそう?やなら洞窟戻ればいいし、みーちゃんを皆で守るからね?


「ミゥ」いっしょならどこでもいいの


「ピーッ!!」ねぇね!!


 黄色のヒヨコが何やら滾った様子で。


「きゅる」べすのへや、けっかい、つよくしろ


 あいあいさー!!

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