第108話 飛べる犬!

 二日後、みーちゃんがやっと慰めが終わったと思ったのか、離れてヨーンとネズミボールで元気に遊んでいる、今日こそは、お願いの時!


 ソワソワしながら深夜を待った。


 ウトウトしてたらアドリアナに起こされる。


(今日こそはって言ってたでしょ!)


 そうだったさんきゅ!タマには役に立つ!


(たまにじゃない!)


 よし、皆グッスリ寝ている……そろそろ離れて、転移!サーっと広がる大草原。


 魔力を循環させて……させて……


 コントロールさん!お願いします!お空に飛びたいのです!上手く魔道具に流れてください!!と土下寝。


(必死杉……)


 ジワジワ魔道具に魔力が流れるのを感じる……ジワジワ……何か違う、今までと何かが違う!これはっ!


 フワフワのオーラが全身に纏い、体がフワーッと浮く……と、飛べる!


 フワフワ上昇しながら五メートル程、フワフワ浮くことに成功!後は飛び回るイメージ!


 そろそろと浮きつつ前進、まだゆっくりだが、ぴーちゃんみたいに飛ばされるのも嫌だ、ゆっくり、ゆっくり前進……体を傾けて旋回、フワフワゆっくりと旋回している!


 飛べたよー!空飛ぶ犬の完成だよ!


(おー!おめでとー!)


 さんきゆーさんきゆー!グルグル旋回、回るだけでは詰まらなくなったので大草原を真っ直ぐ進む……ほわー夢の様だ!


(その調子ならもっと高く自由に飛べそうだね)


 高いのはまだ不安、リスキーだ、このまま練習を重ねれば自由に飛べそう!


 その深夜は夢中で空を飛んで朝方に日が上るのを見てハッ!と帰らないと!


 と思ったらフッっと浮遊感がなくなって落ちた……あだだだ!猫じゃないから素直に落ちた!気を抜いてしまった、反省。


 ヒールをして転移で戻ると、まだ皆寝ている、俺はまだ浮遊の興奮で寝れそうにない。


 これから、深夜は程ほどに練習だ!


「なーんか、元気ないね、どうしたの?きゅーちゃん」


 軽くウトウトしているとマドロンさんに起こされる……朝方から昼まではハイテンションだったが、お昼ご飯を食べたら眠くなってきた、うー寝たい……邪魔……


「ミ?」じゃまー?


 眠いのに話しかけてくる……


「ンミッ!」たいじなの!


 みーちゃんの皿割りキック!


「ぐえっ!なんでーっ!!」


「ンミミッ」にぃにのじゃま、だめっ


 ふおーみーちゃん偉いのーにぃに眠いから寝るのーすやぁー……


「ミー?」いつものにぃにとちがうの?


 そんな事言ってるとは知らず夜の解放時間までグッスリ寝てしまった。



 深夜になってふっと目が覚める、夕方たっぷり寝たからスッキリ、変な生活リズムになりそうだが今は我慢の子!


 キョロキョロして皆が寝ているのを確認、ソソソと離れて、転移!うっし!やるぞー!


(あんた……尻尾)


 あ?俺のフサフサの尻尾がどうしたよ?


「ミー?」なんでてんい?


 ギョッ!クルッと尻尾を見るとみーちゃんが尻尾を掴んでた!おうー!


 な、なんでって言うかやりたい事があるっていうか?練習をっていうか?


「ミィ?」なんのれんしゅう?



 うっ……みーちゃんはまだ魔力を流すのが出来ないから、見せたくなかった、何か言い訳ないかな?


(えーみーちゃんに嘘とかないわー)


 裏切り者!えーとね、にぃに、ほら空を飛ぶ練習をしてるの知ってるよね?で、さ、コントロールの練習しようと思ってて…


「ンミー」ここじゃなくてもできるのー


 そうだよねー出来るよね?……本当は完全にマスター出来るまで見せたくなかったんだけど、付いて来ちゃったなら、見せようかな?


「ミッ!?」なにかあるの!?


 ……ふふふ、にぃに、ついに!空を!飛べるのだ!


「ミァ?」しってるの?


 え?な、なんで!?まだぴーちゃんにも言ってないのに!!


「ミゥ」かみさまがいってたの


(な、内緒って言ったのに……)


 ……みーちゃんがにぃに、に嘘付けると?


(ややっ!何かさみーちゃんが凄い心配してて!マジ心配させる犬が悪い!)


「ミッミー」ねてばっかなの、しんぱいだったのーにぃにむりしないで?


 はうんーキュンキュンしちゃう!


 もう知られてるなら事情話そう……お昼も寝てそうだし、また心配も掛けるし。


 にぃに、お空に飛べるけどまだ下手でもっと上手になったら皆に見せようかなって!おもってたんだけど、心配掛のは予想外。


 みーちゃんごめんね?具合わるいんじゃなくて、ただ、練習が深夜だから、お昼は寝たままかもしれない、でも心配しなくて平気!


「ミァー」みぃもいっしょするー


 駄目だよーみーちゃんちゃんとした生活しないと大きくなれないぞ? 


「ンミッ」にぃにもちいさいっ


 ごめんねー!俺はもう成犬で!!


「ンミッ!?」そうなの!?


 マジか……俺みーちゃんに子供に見られてたの!?ショック!


 妹に子供だと思われていた、百年一緒に居たのに!!なんでだ!?


(その姿のせいじゃない?見慣れないしマジ小さいし?この世界にはそんな成犬居ないわ。)


 そういえば前の世界も居なかった!ルルさんというケルベルもどきのペットでも三メートル級だったわ……チワワで来てたらとうなってたんだろう……


「ンミ?」もうそらとべるの?


 うん……まだ立派には飛べないんだけど。


「ンミッ!」みたいの!


 えーそう?じゃあやってみるねー?


 昨日と同じくコントロールさんにおなしゃす!として魔力を流す。


「ミッ!」とんでるの!


 フワフワ浮いてまた五メートル程で止めとく、みーちゃんの上をフワフワと旋回。


「ミッミッ」にぃにすごいっ


 へへへー照れるう!っと思ったらストーンと落ちた、あだだっ!!油断したし!


「ミッ!?」にぃに!?


 ザッと駆けてきたみーちゃんがヒールをブッパする、いやー自分で出来るよ……油断して落ちるとか恥ずかしい!きゃー!


(馬鹿犬……)


 心配性のみーちゃんがぺろぺろして傷はないんだけど、気遣ってくれる、ホロリ……


 もう大丈夫だよ、みーちゃんのお陰で元気!ちょっと油断してしまったのさ、はは。


「ンミー」しんぱいなのー


 みーちゃんの俺への心配って小さいからなの?だから過保護気味なの?威厳ゼロー!


 悲しいが、せっかくだから、みーちゃん背中にのってみる?落ちないように気を付ける!


「ミッ!?」いいの!?


 うん、油断大敵!みーちゃんは守る!


 伏せた背中にヨジヨジ登って合体ー!よし、確か効果は触れた人と一緒なら飛べるはず。


(絶対失敗すんなっー!)


 分かってるってーむんー!お願いをしてフワフワーみーちゃんが背中でソワソワしてるのが分かる、何か嬉しいね!


「ンミッ」とんでるのったかいのっ


 今度は三メートルにしてフワフワ旋回、慎重に今度は真っ直ぐに、大草原を駆け抜けるとまではいかなくとも、フワフワゆるゆるーと飛んで行く、ここはかなりの大草原、見晴らしは抜群ー!どこまでも大草原の世界だ。


「ミッミッ」ふわふわーきもちいいのっ


 むん!練習の甲斐があったな。


 三十分程で慎重に地面に降りる、とみーちゃんがピョンピョン跳ねてご機嫌!


「ンミゥ」にぃに、みーもできるかな?


 そうだね……流すのを分かれば良いんだけど、にぃにと一緒に頑張ろう?


「ウミー!」がんばってにぃにのせる!


 それは……どうなんだろう?でも気持ちが嬉しいですー興奮気味のみーちゃんを大人しくさせるためにペロペロ毛繕いで落ち着かせる、夜中だから、段々と眠りに落ちていく。


 五分程で眠りに付いたしみーちゃんを見つめる、みーちゃんは異世界の猫だ、正直どう成長するのか分からない、今は地球並みの普通の子猫にしか見えてない、生後半年位だろうか。


 いつかみーちゃんが俺よりも遥かに大きくなってもいいさ、そしたら、今度は俺がみーちゃんの背中に乗ってきゃっきゃうふふ、する!



(羨ましすぎるんですけどー!)

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