第107話 お空に飛びたい犬

「魔道具は希に不思議な効果を発揮します、とある条件があったり、付ける職が決まっていたりと、しかし鑑定する限りそういった特別な効果は無いので、コントロールが下手なのでは?今は流すよりもコントロールの練習ですね。」


 ぴーちゃんがあっさり出来て内心不貞腐れてた俺は副店長に泣きついた、コントロール!?魔力の巡りが悪いのか、流すのが下手なのか、果たして両方なのか!ぐぬぬ!


「きゅーちゃんコツコツ頑張ろう!おー!」


 ポンコツは黙ってろ!


「うーうー!いざとなると私を頼るのに!」


 じゃあ、何か魔法探してみよう、ポンコツが居なくてもいい様に……と。


「えーえー!やだやだ!」


「ポンコツさん、何時までサボってるんですか?お話はもう終わってますよ。」


「ぴゃー!」


 ポンコツは逃げ足が早くなった!



 うーんコントロール?何かさ、目に見えるモノなら分かるんだけど、三十路の固い頭じゃ柔軟に物事考えずらくなくなるのよ!個人差によるけど?三号になんて学生じゃん?ピチピチだよ!三十路と十代の差なめんなよ!三十路はこれから、とか言うけど!これからって人とね、これからなんて無いからって人と分かれるの!俺は不器用なんです!


(言い訳過ぎて最後が本命ー!)


 何かさ!体が動かす様なゲームでさ、いざやってみたら、何か出来る人かと思った、とか!言われたこと無い!?なんだよ?思ったって!てめぇの勝手な想像でガッカリしてんじゃねーよ!っての!なんならてめぇのガッカリな部分でも言って欲しいんですかね!正直に言っちゃうよ!?迂闊な事口にすんなよ!百倍に返すぞごらー!って話があったり?無かったり?


(長っコンプレックスって奴かよ……)


 だってさーおかしいじゃん!そんな人だと思わなかった、とか?どんな人だと思ってたんだよ?って!初めて会って翌日に言われたらお前は俺の何をしってんだ!ってな!?新人だからって仕事バンバン回す方が頭オカシイダロ!それでガッカリされても俺のがガッカリだよ!人を見かけで判断するなって言うだろ?それだよ、まさにそれ!そんな奴ばっか!


(おおおおい!もはや犬の愚痴じゃねー!)


 ふあー!落ち着け!俺!


 みーちゃんー癒して癒してー


「ミッ?」にぃにおつかれ?


 そうなのーおつかれ心が……


「ミァー」いやすのー


 みーちゃんにぺろぺろ毛繕いで癒してもらう、ふぅー……落ち着くなりぃ。


 毛繕いされながら考える、流れースムーズに流れるのが良いんだろ?体の中の血液に魔力と言うものを混ぜて体の全体に行き渡せる、これは良いと思うんだよねー?


 コントロール、今まで魔法はブッパだったし考えたことあんまり無かったな、メテオの時は流石に考えずにやり過ぎたと思うんだよ、それに比べてみーちゃんのメテオはかなり精密だったと言ってもいい、俺が流す事ができるけどコントロールが下手っって言う、みーちゃんとは正反対な訳だよ……そうだ!


 みーちゃんはメテオ使ったとき何を考えて使ってた?


「ミ?ンミーミ?」みぃ?めておね、ここにだけどーんって、おちてってかんがえたの?


 ここにだけ?お願いしてる感じでもあり命令してるようでもある。


 お願い……そうだ強盗を捕まえた、もじゃもじゃな蔓もお願いみたいに考えたよね?


 なら魔法って意志があるんか?そうなの?


(ちょっとノーコメントー)


 んだよ!でも近いんだな?そうだよね、アドリアナのポンコツに付ける能力も勝手に変なの付いたし、アドリアナはそれを予想外と言った、ふーん?意志がある、と考えよう。


 コントロールにお願いしますって!土下寝すれば良くない?


(何処までブライド捨てんのあんた……)


 無いよ!犬になった時点でないね!あってどうすんのよ?野良なら考えたけど?


(う、それは……犬は飼い主に忠実って事は分かってるけど、あんた忠実でもないじゃん)


 そらー仕方ない、中身人間三十路なんだから、そこは開き直らないと?


「ウミゥ」すやぁー


 あ、みーちゃん寝てた、ありがとね、お返しの毛繕いでお疲れ様ー。


(ふぅーんくやしぃー!)




((旦那ー!この前近くに白馬のネズミがいたっすよー!でもでも!なんだお前みたいな目で見られて超ショック!!))


 ヨーン!ネズミが逃げたぞ!捕まえて小屋に閉まっといてー!


((いえっさーぼすー))


((ちょ!旦那!聞いて欲しかっただけっす!))


 みーちゃんが起きるでしょうがっ!!


 ヨーン達に一斉にコロコロされて小屋に放り投げられるのを見る、中の元勇者には耐えてもらおうか、みーちゃんの為よ!


 ふんふん、今夜みーちゃんが眠ったらコントロールさんにお願いしてみよう、駄目ならこんなつかえねー魔道具捨てたるわ!!



 そして、ソワソワしながら待った夜中、困った事態に……昼間に俺が精神的に疲れてたのを気にしてみーちゃんが離れてくれないのだ、にぃにもう大丈夫だよ?


「ンミンミ」だめなの、いやすの


 嬉しいけど!嬉しいけどー!素直に嬉しいから、一緒に寝ようねー!


(なんでやねん!)


 いーんだよ、みーちゃんの優しさは神も真っ青になるピュアさだよ?


(わっわかる!すんごいよね!神様にこんなのこんなの絶対居ない!)


 何か一人で滾ってる、すやぁー。




「ねぇ、きゅーちゃん!お願いします!」


 何ですか?マドロンさん?


「じゃじゃーん!どうぞ!お食べください!」

 

 サッと出されたのは、餌、もう朝食べた。


「冷めた目で見ないで!これプロのコラボ作品!なのでーす。」


 プロ?そういえばコラボするとか意気込んでたな?それですか?……クンクン、何か匂いが美味しそうと感じる……チラッとマドロンさんを見るとドヤって顔してたのでビンタ!


「はうー!ご、ご褒美!?」


 もう……遅いのか……


「じゃない!そうじゃない!脳裏に蘇れ!副店長ぅー!」


 どういう事……


「はぁー……癖じゃない、大丈夫!ね?美味しいと思うから食べてみて!」


 ……説得力ないんですけど!でもプロだって言うし、食べてみてやるよーハグ、んー……ん?これは!ま……不味い!


 なんでやねーんっ!!往復ビンタ!


「ひゃー!ぶっ!へっ!」


 ペッ!うっすいー!ほぼ味なし!匂いだけとか、なんつー飴と鞭!


「え?え?嘘……不味い?」


「きゃん!!ペッ!」味見しろ!


「うえっ久し振りに吠えた!でも激おこ!」



「あらあら、駄目でしたか……匂いは好きそうでしたよね?」


 うおんっ!探知働け!コクコク!


「匂いは良し、味は悪い、という感じですね、要報告ですね、店長いってらっしゃい。」


「わっ私!?ふくてんちよーでもーぉ……なんでもないですー!行ってくるっ!」



「動物の食べ物は中々難しいものですね、今まで気にしたことありませんでしたが、ワンコさんの珍妙な魔法のお陰ですね?」


 ち、珍妙、まだそんな扱いだった。


「ふぅ、まだまだ修行ですね。ヒヨコさん、中々事務で役にたってますよ、お金には異常に五月蝿いのですがね。」


 そうなのだ、計算を覚えていく内に経理のお手伝いしだしたのだ、給金目的で……


 そんなにお金に貪欲になるとは。

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