第102話 ドラ売りに王城へ

 王様には翌日と言われたので、従業員さんに綺麗綺麗にしてもらいます!


「ポンコツさん!こうです、地肌からマッサージするみたいに」


 従業員さんが最早普通にポンコツ呼び。


「え、毛だけじゃないんですか……うーん?地肌から?」


 ポンコツの実験台は俺なんすけどね、マッサージじゃなくてそれくすぐるってヤツ!


「はうー難しいですね……」


「駄目ですよ?皆の綺麗な毛並みちゃんとお手入れしないと、痛みますからね?」


「は、はい!」


 ちょ!力入れすぎ!頬パーン!


「いひゃい!すいません!!」


「きゅーちゃんもその調子で覚えさせてね?」


 わっかりましたー!コクコク。


 結局気持ちよくはなかったが、今までよりは大分マシになった、後は練習と慣れだな。



 皆で綺麗になったので、王様御迎え待ちだがいつ来るかわからんので、ヨーン遊ぼうー!


 春先になったので小屋からは出て気持ちのいい芝生の上でヨーンとヘールストレームとネズミボールで遊ぶ、疑問かな?ネズミが一ヶ月半どうやって食べ物を維持していたか、なんと!遠くからでもイメージが出来れば転移させる事が出来るのだー!天才!


 ネズミもボロボロだった頃と比べて丸々育っている、そして俺がいかに可愛くするかを練習させて居たので、従業員さん達もそこまで嫌がらなくなったのだ、食べ方とか重要だよね、だから俺はハムスターやリスの様な食べ方を教えたのだ、中々いいネズミ育っているぞ!


((それでもまだ可愛いとは言われないっす!))


 たりめーだよ?スタートがネズミなんだから、まだまだ修行が足りないね!


((おいらが可愛くなって得になるんすかね?))


 知らんよ?少なくともモテる要素は高まると思うね!女は可愛いのが好きだって言ったろ


((も、もてる!なら頑張りますボスぅ!))


 それでいい、別にモテなくてもどっちでもいいんだけどね、玩具だから。


(残酷だよー!)


 失礼だね、あのままだったら、どっちみち死んでたんだからね?少しの希望を持たせる位いいと思いますー!




「はふーん、庭で遊んでるー可愛いっ日常が戻ったって感じ……」


「そう言えば、私ワンコさんからお土産貰いました、店長忘れられてませんか。」



「うえっ!何で!ズルイ!きゅーちゃん!」


 あっ!忘れてた、突進してくるのをヨーンの壁でブロック、跳ね返されるマドロンさんにそそそ、と近づいて、お土産を渡す。


「いたい……お、お土産?何で先に副店長なの?飼い主よ!?」


 黙れ!頬ぺし!


「あうんー肉球もいいよね……」


 癖だよ、もう癖になってるの!


「なにかなにかな?……何コレ?」


 マドロンさんのお土産はダンジョンのお宝の一つで、物理攻撃半減、というブローチだ。


「綺麗!あっ!鑑定してもらおう!じゃ!」



 と、副店長に特攻、なぜアレを渡したかと言えば、突進対策だ、アレを着けていれば遠慮なく叩ける!


(そういう使い方すんなよー!)


 だってー動物はブローチ無理だし、適任だと思います!


(妙に納得してしまう……)



 お昼が終わる頃御迎えの馬車が来たと。


 うし、金ぼったくんぞー!


「ミー」ぼったぞー


「ピッー」だすもんだせやー


(やめいー!)



 豪華な馬車が止まってるー、カボチャの馬車ですかー?キラキラしてます、税金の無駄遣いですー!



 中のソファーもふかふかーいいね!毛布要らないね、快適じゃん、無駄遣いじゃん?


(何回言うんだよ!少しは威厳が必要!)


 もー言い訳して、子供に贅沢なんて一世紀早いよ?子供は風の子ー


(王様ーっ)


 へい、少年王は元気してますかね?財務から金抜かれたのによく買い取る気になって?


(え、あんた返すって言ってたジャン?)


 え?一割は貰っていいんでしょ?


(あーうーそー……なのかな?)


 勇者引き抜いて平和が保証されて、まだ満足しないの?傲慢だよ?やだやだ。


(んふー……感謝してます……)


「んーでもドラゴンで差し引きゼロとか?ありませんかね?」


 たまに頭よさげな事言うよねー


「たまにじゃないです、毎日です!」


 毎日頭いいとか無駄遣いだよ。



 

 ガラガラーっと王城到着、合体して飛び出すなりぃー!はよ金くれー!


「ま、待って!置いてかないで!」


 また待たせるなんて動物には効かないんだよ!直行よー!走るのよー!


「きゅーちゃんー!」


 ダッシュで走ってると周りが驚くが無視、少年王!今会いに行くよっ


 と、王の間の門番さんに止められた、何で?入れてよ?皆でうるうるお目目作戦するが目を反らされる、おい、見ろよ!ペシペシ!


「お、お待ち下さい。」


 何してんの?子供には見せられない事してんの?早熟過ぎない?


(んな訳ない、客居るんだろ!待てよー)


 皆で扉の前をウロウロ、そわそわ、門番さんチラチラ見てる、よし、もっと見ろ。


(いや、なにやっても駄目なのは駄目!)


 しょうがないなー、皆で門番さん相手に必殺技の練習よ!


「ミっ!」れんしゅうなの!


「ピー」やってもむだ


 これどう?壁に寄っ掛かってダルーってポーズで座る、足超開いてるけど、大事なとこは前足で隠す、休日のお父さん的な?


(何でそれが癒しになるんだよ?)


 大事なのはポーズであって親父うんぬんはどうでもいい。


「ミィー!」にぃにかわいいのー!


 え!?本当?今度お客に試そうかなー


「ミィミ」みぃのみてー


 俺の隣で同じポーズ、やだ!女の子がするんじゃありません!ハレンチよ!


「ミィ?」はれんち?


「ピー」だいじなとこは、ぴぃがかくす。


 おお?猫のお人形がヒヨコを持ってるテイが出来た、それいいね!



 ちらっっ門番を見るとデレッて顔してたから成功なのよー!今度は店でやろう!


 カチャッっと扉が開いたら、気難しい顔したおっさんが出てきて、俺達を見てギョッとする、だよねー?


「お疲れ様です将軍殿」


 将軍……カッコいい!けど何か機嫌悪そう、ジーっと俺達の事見てるけどどうしたん?


「……あれは人形か?」


「え、いえ……王のお客様です。」


「それが……例の動物冒険者か……」


「そうみたいです。」


「……そうか。」


 と言いながらずっと見てるけど大事なトコ見えてます?思わず確認、ちゃんと両前足で隠れてる……はず?コテッ?とすると、みーちゃんも連鎖でコテッぴーちゃんは大事な使命があるから動けない……


「……んんっ!そうか、では。」


 おう、ビックリした!いきなり止めろ!


 扉から少年王が顔を出す。


「はははっなんて格好してるんだい?」


 可愛さの練習!これ二段階あんのー見て、サッと両前足をどけて、直ぐに尻尾で隠す!どやー早業!そして、お願いポーズ!


「ふふふふふ、かっ可愛い!!」


 やったぜ!流石俺のファン!


「ああー本当癒されるよ、入っていいよ、ポンコツさんが見当たらないけど……」


 多分迷子?


「あ、え?ああー……やったか……」


 アドリアナからか、どうした?


「はぁー頼むよ、ペットならちゃんと面倒見てね?迷子になって物壊してるらしいよ…」


 うげっ!!金が!!


「ピッー!!」だいじけん!!


 皆でダッシュで!!探知したポンコツを捕まえに行く!


 カシャン!と不気味な音、ちょと!?それ何個目?やだ何で探知しないで迷子に?


「あっ!きゅーちゃん!やっと見つけた!」


 バッと両手を開いたら側の花瓶がポローからのガシャン……


「ああっー!またやっちゃった!」


 じゃねーよ!請求書が怖いよー!!


「ピーピー!」ばかばか!かねがなくなるだろ!こわすなばか!



 ポンコツの両手に紐を縛らせて連行だよ!ったく何で!?探知で探せるでしょ!?


「あーそうでした!きゅーちゃんがペット置き去りにするのが悪いですープン」


 こっこいつ……日々頭正常化してないか!?悔しいが文句が言えない!


(いや、人間ペットの時点でオカシイから)



 動物に紐を咥えて連行される人間、端から見れば滑稽だろう、これ家の日常なんですいません、気にしないで下さいへへっ。


 王の間の前まで連行すると門番がぎょっとするけどいーんだよ、はよ入れてー?


「お、王、戻られました!」


「ちょっと……待って下さい、今行きます」


 いや、そこは入れ!ちゃうの?ガチャっと少年王が顔を出す。



「あー成る程……そういう、足位は突っ込んでそうなんですけどね……。」


 どうやら見せ物にしたくてアドリアナが寄越したらしい。では、推測しよう、あたしはあーまでポンコツではない!


(名探偵!どこら辺でそう思ったの!)


 足位は突っ込んでる、辺り?もう突っ込でるよ?浸ってるよ?戻れないよ?


(違う!ちがうー!ちーがーう!あーー!)


「……あれ?聞こえなくなった」


「逃げましたね先輩ふふふ……」



「普段神様とどういう遊び方してるのかな…」

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