第75話 マシな勇者って何処?

 加工の依頼をしてから、手持ちのお金を金に変えてもらう事にした、現金は少しは残したほうがいいだろう、露天の薄味仕様の俺達のおやつを作ってくれてる露天が幾つかある、最近はペットやヨーンなど連れたお客も買いに来るようだ、意外とすくないもんねーペットのご飯とか、おやつが。




「成る程ー!ペットももっと違う味とか興味あるんだねー参考になったよ、有り難うミネルバさんー!」


「あ、いえ、あ、はい?」


「ど、どっち?」


「へへー気にしないで下さい!」


「う、うん……」



 ばーたれ、要領良く言いなさいって言ったじゃないの!マドロンさんには知られたくないんだからね?魅了勇者にコロッといくヤツ!


「ふぁいーすいません……でも私の意見じゃないのにお礼言われると……」


 ペットは飼い主に忠実になりなさい!


「あいあいさー!!」


(すっかりペットのペット生活してんじゃないよ!ミネルバぁ!!)


「あ、先輩、まだ終わらないんですかー?」


(終わった!)


 人生が?


(ポンコツのなっ!!どう調教してんの!?)


 犬聞きが悪いが俺は何もしていない!


(素質なの?素質だったのっ!?)


 異物でも紛れてんじゃねーの?違うネジとか?緩んでるんだよ!注意しろよぱいせん!


(お父様に注意して見ろって言われた矢先にメテオだよっ)


 うーむ、あれは中々コントロールが難しい、ピンポイントで出来たみーちゃんが凄くない!?天才!


(だよね!人の被害もなかったとか奇跡!本当に天才!)


「先輩ー操作されてます。」


(おう……なんてこった……)


「みーちゃん愛が強すぎますよー?」


(あんたは犬派なんでしょ?何でそんなひねくれが良いのかさっぱり!)


「可愛いです!先輩でも許しませんよ!!」


(おおおうっ!マジおこ!?ごめんて!)


「むうー何でこんなに可愛いのに先輩は分からないんですかね!ふんっ!」


(えー……何……何があったの……)


 さあ?洗脳がぱーぺきになったとか?


(ありえそうな事言うなし。)





「どうどう?お味は?」


 うーん露天レベルだな、これじゃブランドにならん、フルフル。


「えー?ヨーンは喜んでたよ?」


 そらそうだろ、今まで同じ飯食ってたんだから!急に味変とか喜ぶわ!ベシベシ!


「あうちっ!あうーん駄目かー……きゅーちゃん厳しくない?」


 大事なのはココ!でしか買えないってブランド力よ!普通に露天レベル売ってどうすんの!


「うはー凄い睨まれてるーへへすいません」


 三下くせーこと言ってないで修行!ベシ!


「あうっ!試作頑張りますっ!」


 それでいいんだよ!



「と、言う会話がされてますぅ……」


「成る程ブランド力……ココでしか買えない……人間臭いですね?」


「え、そ、そーですか??」


「目が泳いでますよ、分かりやすくて結構」


「ひゃーん!」


「目を瞑ってもあなたは意味ないですから」


「厳しい……」



 つーか何で新しい餌作ろうと思ったんだよ、そんなもん企業努力だろ!犬で試すな!


「ピー」それがふつうじゃないの


 ……あ、そうだった……


「ピィーピ」いつまでもいないから、ためしてるの


「ンミ」ためすの?じつりょく?やるの?


「ピーッ」ねぇねのきょういく!


 だってー!猫だから!自由にしてたらそうなったのー!それが猫でしょ!


「ピッ!」ぴぃみたいにかしこくするの!


 手遅れだよ!百年変わんないのっ!


「ピ、ピィ」ひゃくねんはひどい


 むしろ何でヒヨコがそんなに頭いいの?その方が不思議だよー


「ピーピ!」とくべつだから!


 何処が?成長しとく?


「ピー!」おにぃのばか!


 ちっちゃい羽でバサバサされても……痒い



 何日も味変飯食わされて何か分かんなくなってきた……これっておいしいのかな?


「何で首傾げるの?かなり上出来だと思います!自信作ー」


 豊富な調味料が有るわけでもないしなー妥当なとこで止めるべきなのか?


「んむーまだ納得いってない感じー……あっ!きゅーちゃんのご飯ちょっと食べさせてよ?ヒントヒント!」


 ついに犬飯か、マドロンさんが飼い主からペットにランクダウン?


(どんだけ人間のペットが欲しいんだよ)


 うむ、業が深い。


(あんたがね……)


 ポンと召喚で出してどうぞ、と渡す。


「おおっ!ありがとうっ!…………これどうやって開けるの?」


 餌は店員任せだもんなー?店員さんをじっと見つめるー


「……あ、なるー聞けばいいんだった。」


 ホントに録な人間居ない……


 お庭から店員さんに開けて貰ってる、そして店員さんも試食……!って驚いてるけどせやろ、地球とは比べ物にならんだろ。


「な……なにこれ……私が食べてるのより美味しいかも……」


「風味が豊かで薄味なのに満足感がありますよ!店長……これを再現とか無理。」


「だよね……何きゅーちゃん毎日こんな贅沢してたの……悲しい!」


 しらんがな。


「でも、味だけではなく風味も大事なのは分かりましたね……んー予算が足りるか副店長に怒られるかの二択……」


「よし、妥協も必要!」


「逃げんな」


 全くー怒られる運命なのに。





「と言うような話してますー」


「予算か妥協か……私も考えなくてはいけませんね、マンネリは良くありません。」


「まんねり……?」




 お店が閉まってからマドロンさん、と珍しく副店長まで研究し始めた、毒入りじゃないですよね?


 



 二週間程して……又来ましたよ、魅了勇者、ポンコツじゃ懲りなかったか。


 今は隠蔽の力も俺には無効よ、姿消してみーちゃん浚おうなんて思わないこったな!


「こんにちは……ふ、副店長さんいます?」


 意外とポンコツが役にたってた……


「あ、はい、あ、すみません、お客様!近寄らないで下さい。」


「!!」


 普通の店員さんにも嫌われ始めたプギャー!ざまぁですの!


「ふっ……いいさ、帰ればまた黄色い声援が……」


「そうですね、さっさと帰れば宜しいのに、しつこい方は出禁にしますよ?」


「ふふっ!きょ、今日こそは君を魅了にかけて見せる!修行したんだ!」


 なんの修行してんだよ、アホか。


「そうですか、お暇なんですね?」


「べ、別に暇じゃないよ……修行なんだからねっ」


 だから何だよって


「所で魅了と言うのは戦争で役にたつんですか?前から疑問だったんですけども。」


「するよ?尋問とかね?」


「前線に出ない勇者に何の価値が。」


「……あ、あるし、あるし!」


 流石にまだガキよ、副店長に煽られてる、まぁ結果は見えてますけど。


「ふっ、修行の成果!魅了魔法!」


 ところで魅了の修行ってどんなの?


(んーひたすら魅了に掛けて能力アップでかな、カンストしてるから意味ないんだけど、敢えて教えてなかったり。)


 ふっお主も悪よのぅ


(たまにノリが分かんないんだけど?)


 そんな事より副店長だよー。


(スカッたからって話題変えるなー)


 ほら、何か副店長オカシイヨ?


(え!?)


 お庭の小屋に向かって歩いていく、何?結界張ってるのに……


 ま、まさか、……


(あらー魅了に掛かってる、ヤバくない?みーちゃんがヤバくない?)


 大丈夫だよ、避難させて結界した、副店長でも連れ出せない。


 庭の木屋の前でじっと佇む、その後ろにドヤ顔の勇者、腹立つぅ!



 扉を開けようとするが結界に阻まれて開けられない、それでも止めない副店長、やだ怖いどうしよう!?


(……?なんだろ違和感が……)


 ?


「やっぱり結界だよね、犬君をどうにかしないといけないみたいだね?」


 と副店長がこっちを見る!ぴゃー!


 恐怖が近づいてくるぅ!どうしよう!


(待って、大丈夫かもしんない)


 いや、何でよ、恐怖がいまそこにっ!



「ワンコさん……」


 は、はいーなんですかね?雑用ですか?


「私実は隠してた事が有るんです。」


 ナンデショウ……


「私が何故ペット専門店で働いてるか、分かりますか?店長と共同経営で始めました。」


 う、うん聞いてる聞いてるぅ!


「ヨーン好きでした、でも……本当は……」




「ワンコさんが一番好きなんです。」


 (なんだってぇ!)なっ!なんだって!?


「ちょ、あのーそう言う話じゃ……」


「黙ってくれます?クソ勇者、私は魅了に掛かろうが誰一人渡したくないんですよね。」


 ええ!動物スキーだったの!ドライなのに!


(いやよいやよもすきのうち?)


 何か違う。


「つ、通じてない!何て意思の固さ……まるで鋼……」


「と、いう訳でさっさとお国に帰りなさい?私、あなたにポンコツ投げたくて仕方ない衝動が有るんですけど。」


「ええ!あ、あの子だけは!勘弁して下さい!!」


 たまには、役に、立つ、ポンコツだもの


(なにそれ……)


「チッさっさと帰ろよ、クソ虫が。」


 何時もの副店長とは違うドSとかの問題じゃない!素の感想だ!



「こんなとこに長いこと滞在してコレとは、残念過ぎる…」


「あなたのオツムでしょう?」


「どうしよう言い返せない……」


 ジワジワ追い詰められてる、そろそろ魔道具使って逃げるかもねー?俺には耳輪がある、見逃さないぜ!?


「チッ……こんな、やっかいになるとは思ってなかったよ、おめでとう、君の勝ちだよ」

 

  

「じゃあ、退散でもするかな」

  

 ズボンの中にある恐らく魔道具だろう、ソッと出して、存在を隠そうとするが、俺には効かんよ、みーちゃんがコテッっと転んで見えないというサインを出した!可愛い!


(言ってる場合か!可愛いけど!)


 存在が消えたと思っている勇者を尾行する、どうやって?ステルス魔法で


(気配消してるだけだろ……)


 五月蝿いなーカッコいいだろステルス魔法


(すてるすがわかんないから!)


 取り敢えずあいつは気配を魔道具でぱーぺきに隠せるが、察知レベルは所詮勇者程度なのだよ、馬鹿チートとは違うんだぜ!副店長に効かないだけ!


(欠陥品だよ……)


 てっきり王城に行くのかと思ったら高級宿に入ってった、え?あいつマジ金あるんだなー?どこの金か分からんけど。


 高級な中の所謂スイートって所に泊まってるみたいだ、躊躇がない、ステルスしながら付いていく、気配隠してるだけだから、姿は見えてる俺、でも高貴な犬の振りすると、従業員もどこかのペットだと思うのかスルー余裕。


 残念だが部屋までは入れないが犬の素晴らしい聴覚がある、扉に耳を付けて何か聞こえないかじっとする。


「どうだった?また失敗か?」


「チッ五月蝿いなー効かないもんは仕方ないだろ、あの神様が悪いんだよ。」


「ははっ人のせいにするのだけは得意ー」


「んだと!こら!」


「五月蝿い、効かないものは効かない、それでいい、勇者と言ってもそんな完璧なものはくれないと思うね。」


「神様から能力奪えれば天下とれるよねー」


「馬鹿言ってないで、次をどうするか考えないとな、俺達はもうここから離れるが、それさえ有れば何時でも盗みに入れるだろ?」


「はぁ?あそこだけはもう嫌なんだけど?」


「猫を一億で買うと言ってるんだ、逃さない手はない。」


 てめぇら!みーちゃんの価値が一億程度だとう!?兆でも足りんわっ!


(同意!!)


「一億なら他でも稼げるじゃん、マジやなんだよボクは!」


「金の問題じゃない、依頼人が大事なんだ、王様が欲しがってるんだ、拒否するわけにはいかないだろう、勇者として。」


「つーか能力あんだから、王様消さない?あいつ鬱陶しいんだよ、あれやれこれやれって」


「利用価値が有るまでは生かしておく、要らなければ消すけどな。」


「あそこの犬がおかしいんだって、俺でも解けない結界だよ?勇者越えてない?」


「お前がそう言うから少しは調べたがやたら賢い犬だって事、後は冒険者登録した事、中級のダンジョンを制覇したらしい事。」


「はぁ!?グリフォン倒したの?スゲー!まぁ俺達も倒したけど、ダンジョンクリアで宝ないとか致命的、神アホそうだったもんな!」


 ど、どんまい……


(大丈夫……証拠よ!掴んで殺るわ)


 殺る気満々やん。


(足り前でしょ!隣の勇者三人皆悪いとか!)


 そうなんだよな、声に聞き覚えあった、魅了持ちを止められないとか言いに来た二人の勇者だ、共犯とはねー。

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