第63話 寄り道でなつい町

 うむ、少し困った、片道十日なのに、まだ三日目……ダンジョンは調査が入ってまだ閉鎖、二十日はここに居ないと不自然、転移出来るのだけ言っちゃう?


(それはやり過ぎーある程度の魔法使えるのが妥当でしょ?ほら、あの勇者に知られるとややこしくなりそう。)


 珍しくマトモなこと言ったな。


(突っ込ませるあんたが悪いわっ)


 観光するにしても、そう城下町より豊富な露天がある訳でもなく、見るとこほぼなし。


「んーと。んーと。なら別の町に行きますか?近くにダンジョンは無いけど町はあるので!世界を見るなら色々見ましょう?」


 な、何今日は槍でも降るのか!?


(心外……でもない振り返るな過去よ!)


 そうそうそんな感じでー。


 じゃあダンジョン再開するまでそっち寄り道しよう。


「お金もあるし、買い物出来ますね!」


 お前はお小遣い制だから、全額持たせないから、取り敢えず五千円な。


「ご、五千円……」


 物壊したらさっ引くからな!!


「はぃー気を付けます……」


 乗り合い馬車でガラゴロ……乗り合いの連中が目を反らし気味、名声が広がるの早くない?さすが冒険者?


「名声が……きゅーちゃん達の強さですねっ!流石ですぅ!」


 そうしておいてあげるよ。


 町はここから一日らしい、近いなーダンジョンの近くに作るなよー。



 途中休憩お昼の時間、ささっと敷物、ご飯、おやつ、毛布を出して準備おーけー。


「犬が仕切ってる……」「あの人間はペットのペットって噂マジなんだ」「可愛いのか怖いのかわかんねー関係だな」



「ンミンミ」おいしいのー


「ピ」きょうはちがうおやつがいい


 もうーぴーちゃんは我が儘ね。


「ピー」おにぃとして、とうぜんのけんり


 はいはい……すいません。


 みーちゃんは地球でも人気のちゅーってやつが大好き、ぴーちゃんのおやつは少々ラインナップ少なめだから仕方ないのか。


「きゅーちゃん……私のご飯…」


 忘れてた、ほらよ。


「ありがとう!」


 人間にもおやつは必要ですか?


(可哀想な扱いすんなよーあげてやって。)


 人間のおやつは腐るほど色々あるけどあんまり高級品は駄目だな、普通の飯で満足しなくなる可能性がポンコツにはある。


(しっかりしろ!ミネルバー!)


「ふぇい?してまふぅ」もぐもぐ


(……駄目だ)


 



 そんなこんなで町到着ー!


「ミー?」なんだかなつかしいの?


 そうだねー……前の世界の町に似てるかもしれない……感傷。


「ピィーピ」さびれたまちですんでた


 言う程寂れてないよ!こことは少し時代が古かっただけだ!


「ミンッ!」しつれいなの!ぴぃ!


「ピィ」ねぇねごめん


 お姉ちゃんしてるぜ、感動。


「早く行きませんかー?」


 ……足の小指にパンチ!


「ひんっ!痛い!」


 お前の世界の話ししてただろ!感傷に浸れ!


「良く覚えてないです……」


 なっなんだとぅ!?


(しょうがないよ、世界見てんだから小さい町とか記憶に残るとかそんなないね、地形も町も変わって行くし。)


 マニュアルだけしてほぼ近くに居た気がすんだけど?


(そこは……察しろ、ミネルバなんだ。)


 あーそうかい!千代さんに怒られてお籠りばっかしてたもんな!


「ちっ……千代さんは恐怖……!」


(そういうとこは覚えてんだ……)



「あ、あのーそろそろ馬車から降りて貰えると嬉しいなーとか……」


 忘れてた、降りるぜ、すまんな賃金を手に乗せて詫びる。


「ど、どーも……」


 ふむ、我が家の様だ……存分に観光するか、みーちゃん。


「ンミゥ」するのーなついー


 キョロキョロしてみるがなつい様で違う、何か残念、綺麗なガラスとか見るとメルーさんをを思い出す、曇ったガラクタ同然の鏡できゃっきゃっ言ってたなー


「ミィー」にぃにあたまたんこぶなの


 はは、そうだ高い高いして天井に……そんな事覚えなくていいんだよ……


「ピッ!」きらきらがある!


 え?どれ?


「ピィー!ピィ!」ろてん!にぃに!


 わーったから頭で地団駄しないで!


 テトテト歩くと露天には宝石が何個か並んでいる、よく見回すとそんな露天が多い、なんだ?ココは。


(ここらは鉱山があるから宝石が掘り出されるんだよね、だからダンジョンに近くても町が出来たんだ)


 なるほどーリスクを捨てても作るのか。


「ピーィ」おにぃ、あれほしい


 ほ、宝石ですよ!お値段見えて言ってるよね?!買えないよ!


「ピッ」けち


 ないもんはないんですよ!しゃうがないでしょーが!


「ミゥンミッ!」わがままいってにぃにこまらせるの、みぃゆるさないの!


「ピッ!ピィ」いわない!もういわない!


 バイオレンスみーちゃん発動ですよ。


 せやなーダンジョン再開して荒稼ぎすれば一個位は買えそうかな……


(妹には甘いなー)


 ぴーちゃんがみーちゃんの耳輪してるの何でか聞いてるのよ、平等にしないと可哀想だろ?にぃにそこまで考えてはいる。


(成る程……教育……)


「ダンジョンでキラキラの核一杯あるじゃないですか?ぴーちゃんそれは?」


「ピー」モンスターのなんていらない


 女心のわからん奴よの!女なのに!


「ええっ!キラキラしてれば変わんないと思いますけど……」


 しゃーねぇ神様が宝石に興味なんか持たないか、それともコイツはただの無頓着?


(神様だってお洒落すんの、宝石だって興味ある人居るし、無頓着に一票!)


「ピイ」そんなかんじしてた


 変えられないわ、そこはさー、スルーだよ、他にもう少し安そうなお店探そう。


 フラフラ歩いて露天を色々眺めるがやはり宝石は宝石、安売りはしないんだろう。


「ンミンミ」キラキラのかく、うるの、そしたらかえるの?


 それはみーちゃんのでしょう?いいんだよ、金策なんて他でも考えられるからね?でも皆がピンチになったら使わせて?


「ミッ!」いいの!つかうの!


 ええ子や、ダンジョンでブッパするぞ。


(だから!崩壊したらどーすんの!)


 ぱぱっと直して。


(出来ないもんは出来ん!!)


 程々に、してボス目指そう、そしたら買えるかも!ぴーちゃん作戦よ!


「ピッ!」あいさ!ほうせきのため!


 動機が不純なヒヨコもどーよ。

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