第57話 中級ダンジョン

 翌日、ポンコツと冒険者ギルドへ中級ダンジョンの情報を貰いに行く、マドロンさんからはちゃんと朝に金は貰ったなり。


 ギルドに付くと恒例の目反らし発動、モーゼの様に開く道、立派になったな、これが神様の力だよ。


(心外ですー)


「あー?んだ?ペットなんぞ持ち込んでよー?邪魔なんだよ!」


 まさかの二回目のテンプレきたー!


(酔ってるみたい、知らないんじゃない?)


 いいんだよ、何でもイチャモンが大事なんだ!ここでスパッとポンコツがやっつけるまでがテンプレ。


(それがテンプレなら無理だろ……)


「この子達は冒険者です!ペット……ではないです!私がペットなんです!」


 馬鹿発動!ポンコツのターン!


「はぁ?意味わからねぇ……んだ?犬!生意気な目しやがってよー!」


 何故か俺にきたー!可愛いおめめだろーがー!目玉ついてんのかごらあー!


「あー?はははっ犬のくせに一丁前な威嚇しやがって!生意気なんだよっ!おらっ!」


 酔っぱらいの遅い蹴り発動!俺のたー


「ンミイー!」にぃにはかわいいのー!


 みーちゃんの蹴りが酔っぱらいの鳩尾に発動、俺のターン……


 みーちゃんから飛び出る馬鹿チートで酔っぱらいが吹き飛んで壁まで破って飛んで行った、南無南無ー。


「ンミンミ!!」にぃにいじめるの、ゆるさないのー!シャー


 ほらみーちゃん皆大人しくなったよ?気を静めてね?ペロペロ毛繕いで宥める。


「ピィ」たーんがなかった、どんまい


 ……べ、べつにいいし。


 周りの冒険者はポンコツの天然と連れている動物の異常さに怯えている、みーちゃんこんなに可愛いのねー?やーねー?


(ぶっ飛んだ位で可愛さは変わらない!)


「あっ!壁がっ!おおおおお金……」


 ポンコツが金に怯えている……


「だ、大丈夫ですよ!こちらが悪いんです!はい!お、お強い動物で!」


 受付のおねいさんも怯えてる……


「え……いいんですか?ほんとに?」


 五千円で何が出来るんだよ。


「はぃ、すいません……」


「っ!あ、あの、何かご用ですか?」


 おねいさんは独り言スルーを身に付けた


(何言ってんの?さっきから)


 ゲーム風に頑張ってみただけだよ!言わせんな恥ずかしい!


「あ、はいー中級のダンジョンに行きたいんです、お薦めは何処ですかー?」


「ちゅ中級でいいんですか?動物さん大分お強いんですけど……」


「え?どうしよう?きゅーちゃん?」


 えー?いいよ順番で行こうぜー


「順番でいこうぜーなので中級で!」


「あ、はい……」


 お薦めのダンジョンを、ついでに上級も押し付けられたポンコツとお店に帰る。


「上級はまだいいって言ったのに何でくれたんですかね?」


 もう来てほしくないんじゃないのー?


「えっ!……悲しいですぅ」


 悲しむほどの何かがあったかよ?


「お友達ほしいですー」


 馬鹿がここに居るだろ?俺もみーちゃんもぴーちゃんもアドリアナも店長も副店…


「副店長は違います!まむです!」


 調教されてんな?


「でも、えへへきゅーちゃん!優しい!」


 せやろ?お前のポンコツと付き合えるのなんてごく少数だ。


「それ友達ですかね!?」


 おいおい、理解してくれないヤツが友達になるとでも思ってんの?無理だって。


「う、正しい様な悲しい様な……」






「そうですね、中級でいいならば……ここら辺が中々評判のいいダンジョンと聞きますね、上級は行かないので?」


「きゅーちゃんが順番でいいって言ったのでいいですー。」


「成る程、では……片道は大体十日程ですね、それなりの用意をしてくださいね、前回の様に忘れ物は無いように。」


「はっはい!毛布とか一杯持って行きます!」


「食料も忘れずに……」


「きゅーちゃんが居るので大丈夫です!」


「はぐれたらどうするんですか?」


「え……あ、そういう事も考えるんですね……はぃ。」


 ポンコツも空間庫あるよな?


(あるねーでもお金なくない?)


 ……マドロンにもう少し金貰うか。


(あんたの飼い主って可哀想な人生送るの?)


 なんだとぅ!メグちゃんは幸せな人生送ったんだぞ!紳士な冒険者と結婚して!俺達も最後を見送ったし…………ぅっう


(ご!ごめん!!泣かないでよー!)


「ミッ!?」にぃにがないてるの!かみさまいじわるしたの!!


(ごごごめんなさい!許して本当にごめんね!?)


 みーちゃん……いいんだメグちゃんを思い出しただけだよ……


「ンミィー」かなしかったの……


 そうだよね、本当はメルーさんが飼い主だったけどポンコツ見てるとあんまり悲しくないんだ……


(…………ソウナンダ)






「じゃあさーきゅーちゃん達が冒険行くときは張り紙しない?今はダンジョン攻略中!とか?」


「賢くなさそうな張り紙ですね。」


「どストレートぅ!」


「まぁ店長のお店です、お好きにどうぞ?」


「……ねぇ、ここはさ共同で作ったじゃん?何で店長になりたがらないの?」


「至極単純です、責任を取りたくない。」


「押し付けられたっ!?」


「まぁあなたの方が接客向きでしょう?私が店長になってもいいなら、今なりますけど?」


「え、えーと……」


「後ろの店員の顔色を伺う必要が?」


「そー!そんなことないよー?私が店長に向いてる!超向いてるよね!!」





 聞こえてるんだけど……恐怖政治だよ!店員さんが震えてるよ!マドロン店長で賛成しますぅー!


(回復はやっ!)


 何また泣いていいの?おん?


「ミッ!?」にぃに!?


(なっなんでもないですーみーちゃん!本当!何も言ってないよ??)


「ピィー」あやつりやすいかみさまだ


 本音は程ほどにね?


(ほんとにいいコンビだよ!)




 そして数日がたちダンジョンへ出発するのであった。


(あらすじかーいいなそれ)


「ではー行ってきます!」


「気をつけてねー?ミネルバさんは特に。」


「あ、はいーきゅーちゃん達無事にお届けしますよー!」


「そっちのが安心なんだけど……」


 無駄話はいいって、はよいこうぜー!


「はーい!」


 ってやっぱ乗り合い馬車かー……


「あっ!きゅーちゃんだ!やったー!」


 おん?あ!常連客の冒険者だ!


「あ、そうなんですか?いつもご来店有り難うございますー」


「あ……はい。」


 そうか、お前のポンコツも広がってるな!いつか世界を制服出来る気がする!


(させないよー!世界恐怖だよ!)


「きゅーちゃんがさ、冒険者になったって聞いていつか一緒できたらいいなって思ってたの、何処いくの?」


「えーと、グスタフの中級ダンジョンです」


「へぇホントに冒険者やってるんだ、賢いもんね?抱っこしていい?」


 ぴょんと飛び乗る、常連さんは冒険者でも安心だ、みーぴーもおいでー


「ミー」「ピ」


「わお!お店じゃ出来ない贅沢う!」


 せや、兄妹人気が分散してるから三匹まとめてはそうないのだ、ちなみにみーちゃんが一番人気ー!俺二番目ー!


「ピィープッ」どうせさんばんめケッ


 ヒヨコは繊細過ぎて触るの怖いみたいよ?乗っける感じ多いでしょ、でも接戦だからね!負けないし!


「ピッ!」いつかかつのだ!


 ガラガラと走る相乗り馬車、ポンコツは毛布とクッションを出してケツが痛くないよう準備万端ー。


「ケツとか可愛くない言い方は良くないですー恥ずかしい……」


 口に出してる時点で恥ずかしいよ?


「ハッ!嵌められた!」


「ほんと独り言多いね」ボソッ


 まぁ気にすんな、腕ポンポンすれば理解する常連。


「うん、そだねー気にしない。」


「なぁーその動物ってさっきから聞いてりゃ冒険者なのか?」


 乗り合いの男が興味を示した、こういうときが営業ちゃんすやで?


「そーだよ、まさかって思ったけど噂聞いてりゃ確かめたもん。」


「でも動物だろ?何が出来るんだよ?」


「魔法使うとは聞いてるけど?」


 冒険者になった時、魔法が使えるのは解禁したのだ、内緒のが怪しいからな。


「あーたまに変な魔法使う動物いるよな?この前森で野良のヨーンにあったんだけどさ、ピカピカ光ってて良く分からなかったわ。」


「へぇ?ヨーンって収納だけだと思ってた」


 俺もそう思ってた、家のは収納以外の魔法がないからな、不思議なもんだ。


(まぁ動物も人間も進化するしね。)


 そらそーだな、進化が加速してんのはポンコツだけだ。


「し、進化っ!どうしよう?先輩!」


(聞くなよ、進化は自然の問題、あんただって理解してるでしょ?忘れたっぽいけど)


「……知ってますよ?」


 間が気になるんだよ……



「あの人飼い主?なんか怖いんだけと?」「あれいつもそうなんだよ、妄想癖なんだって」「地味に怖いわ」ヒソヒソ


 してるけど筒抜け、ドンマイー


「……慣れましたよー」


 やはり常連冒険者はいいな、気が効いてる、ポンコツいつになったら枯れ木見つけるんだろうな……絶対適当だよアレ?


「えとーミネルバさんでしたっけ?」


「はい!」


「取り敢えず何もしなくていいよ……」


「枯れ木が分からないんです……」


「初心者には難しいよね!ははっ……」


 ぶっとい枝持ってるから引いてる。


 捨ててきなさい!!


「ふぇいー……」



 


 と、言うわけで何事もなくグスタフと言う街に着いたのであった。


(あらすじの使いすぎもどうかって思ったわ。)


 作者の怠慢ですー


 上級者冒険者は要るには要るがかなり気まぐれらしい、金に困ったらダンジョンで荒稼ぎするらしい、怠慢だ。


 それに対して半分は割合を占める中級冒険者がここに集まるらしい、やはり報酬に釣られるんだろうなー。


「きゅーちゃん、今日は休んでから明日にしません?ちょっと疲れました……」


 まあいいよ、みーぴーも疲れてるし。


「はぁー馬車ってキツイものですね。」


 かなり毛布やクッション持ってきたのに疲れるのかい?


「何でしょう?体と言うか心?」


 精神的ってヤツな。


「精神……奥が深い……」


 宿はあんまり無駄遣い出来ないから安宿、結界はるからいいんだけどね。


「さすがですよねー!」


 おまえと別の部屋にして?


「なんで!無駄遣いでしょ!!」


 チッ旅くらい自由にさせてくれよ。


「ミゥ」にぃにーおねむ、がんばるの


「ピー」すやぁー……





 宿で一泊した後一階の食堂に顔を出す、安くても朝食だけは出るらしい、賑やかだなー安宿だから壁も薄いし隣の音が丸聞こえだし、天井ミシミシ言うけどココ帰ったら崩壊してないかな?


(何言ってんの?こんなの普通の建物だって、どんだけ今まで豪華な部屋に住んでたの)


 主に庭?


(……だったわな)


「きゅーちゃん動物の食事も出せるらしいですよ?どうします?」


 こんな安宿の飯なんぞ期待するかよ、召喚しまくりでお気にの食事一杯空間庫に入ってんだ、それしか食わんし食わせない!


「……私の食事も出してよきゅーちゃん」


 人間の修行だろ甘えんなっ


「うー犬の餌って人間でも食べれるって」


 人間より繊細なの、薄味だから言うほど人間には美味しいとは思えん。


「……お、お客さん?犬の餌がいんかい?」


「え、やや、違いますよ?お話しててっ」


「へぇ……そうなんかい、これ朝食ね、あんまり味は期待しないでおくれよ」


「あ、有り難うございますー」


 どうどう?安宿の飯は?こっちはウマー


「ンゥミ、ング!」おいしいのーげんせんしたのー!


「ピピ」ぴぃもげんせん、したかった


 ごめんー鳥の餌ってそこまでなくて…


「うっ!……」


 つわりか?トイレでしろよ?


「……違います、美味しいんですっ」


 えー?こんなボロで格安宿で本人が期待すんなってフラグ立てたのになんで美味しいんだよ!予定調和崩すなよー


「オネェサン、よく美味しいなんて言えるね?宿通りの味って評判なのに……普段何食べてるの……?」


 こいつ……味覚音痴だったの!?


(どっかに救いはあるはず!探すんだ!)


「本当ー豆と何か分かんない薄いスープとガチガチのパンだよ?凄いね……」


 隣の席の冒険者がそんな話してるが鑑定で職調べ、ふーんダンジョンにはこれがベストの職なのかな?踊り子って何だよ?


(んーそんな役に立つもんでもないんだよね、ただ踊って敵の注意反らす感じ?)


 ポンコツの職が決まったし!


(流石に身を守る位の職にしてやれよー!一応神様だよー!人間の体壊れたら当分帰って来れないの、止めてよマジで)


 ……何でそういう大事な事言わないんだろう?後でぎゃーって騒ぐ癖に。


(……言ってませんでした?へへっすいやせん!)


 黙れ三下!


「喧嘩しないで下さいよーこれからダンジョンに入るんですよー協力しましょう!」


 隣の冒険者グループが驚く、まさか一緒なの!?的な驚き、違うんですけど独り言もアダになるときがあんのね。


「え?……あ、違いますよ!きゅーちゃんに言ったんですよ?」


「だ、誰?人何て居ないんだけと……」


 ホラー劇場の始まりーなりー。


「?この子達ですよ?犬がきゅーちゃんです、猫はみーちゃんで、ヒヨコはぴーちゃんで兄妹なんですよー。」


「犬のと喋れると!?凄いね!」


 相手に馬鹿が居たし……


「ちょ!あんたは黙ってなって!」


「そうだよ、一人旅の邪魔するなよ!」


「同じのが居たんだー……」


 お先にーと言って天然を連れてって逃げた、ちなみに天然が踊り子だった、やっぱり最適なんじゃないの?


(いや……そんな手には乗らない!職業はあたしが考える!)


 チッ戦前で踊り子とかプギャーしたかった……


「ムウゥ」ぷぎゃーむずかしいの


「ピーピィ」ねぇね、こころでいうの、ねこのはつおんじゃないよ


 ……さ、さーせん

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