第51話 バナナはおやつに含みません

「はい、寄り道もせずよく帰れましたね、カードも作れたんですか?」


「はいー!ちゃんと三匹作りました!」


「見せて、頂いても?」


「きゅーちゃん?」


 ええよ、別にどこでも見せられるようにしてるからな。


「ぁはい、そうなんですか、じゃあ。」


「……些か能力が低すぎる様な気がしますが、これは隠蔽ですか?」


 コクコク。


「成る程、貴方もやはり普通ではないんですね、改めて不思議なワンコで。」


「普通じゃないですよ?私のいと


 シャラーップ!言うなよ!!


「す、すみませんー……」


「動物に操られる人間とは、観察するにしても興味が沸きますね。」


「操られてますかね?」


「無自覚ですか?まぁらしいのでいいです、それで?何時、何処のダンジョンへ?予定位は立ててるんですよね?」


 立ててないと分かってて言ってるわ。


「立ててないですーきゅーちゃんにお任せです、私は只の保護者的な……」


「逆にでしょう」


「ううっ!」


 ドンドン副店長に弱み握られてる気がするー!こあいー!


「予定が出来れば一月前にはお知らせ下さいね、仕事があるんですから、スケジュールの調整もしないといけまけん。」


 コクコク。


「では、もう夕方なので、晩御飯の準備と解放の準備を。」


「はいー。」


 はあー、何か疲れたわーダンジョン行くのダルくなってきた。


「ミッ!?」たんしおーいかないの?


 焼き肉じゃないんだよ?


「ピィー」おとこはいちどきめたらやるのみ


 そ、そうですよね……


(よし、居ない……あいつとは顔合わせしたくない……)


 顔なんてあったの?


(あるに決まってるだろ!像みてないの!)


 何か、ポンコツの時思い出してみる気がしないんだよね?


(……分かるけど、あたしは結構上よ!)


 自称が一番厄介なのよ?


(そんな事ない!お綺麗ですねわって!信者にいわれるもん!)


 ハッ信者ね、そらろうだろ!


(文句いう前に見てみろや!)


 はいはい、今度な。


(ぬん!?)


 そう言えば、副店長がダンジョンが複数あるって言ってたけど、お勧めは?


(えー?具体的にはどんなのがいいの)


 そうだなースライムさんだけとかは勘弁して欲しい?


(そんな粗末なダンジョン誰が行くんだよ)


 初心者向きのはないの?


(えーと……まあまあの所はあるよ、でも馬車で二日間位はかかる距離かな?)


 ぬ!副店長にそんなに休み貰えるかな?


(ミネルバ居なくても平気じゃない?解雇したくてたまんないとか……)


 仕方ないだろ仕事のできない奴を何時までも雇わねーよ。ファミリーな会社だったらなまだいいけど、副店長がアレだからファミリーでもドンの部類だよ?


 しかしなぁー野良してても、ここらへんしか俺も知らないから?ダンジョンも初めてだし?二日間かかるなら買いだめしよう!いや?空間庫には困らない程食料はあるが、それ以外がないんだ、毛布とか……櫛とかシャンプーとか、みーぴー姉妹が好きなおもちゃとか?やっぱり、おやつは三百円までかな?


(修学旅行か!!)


 おー!!知ってた!ペチペチ拍手!皆でおめでとう!


(ありがとう!……じゃねーよ!!)


 お前なら出来ると思ったんだ。


(そういう信頼の仕方止めてくんない?)


「ワンコさん……」


 ギックン!


(のうー!逃げるのみ!!)


 ちょお待って連れてって!!


「ミネルバさんがアレなので、冒険者に必要なものは私が揃えます、宜しくて?」


 コクコクコクコクコクコクコクコク


「もげますよ」


 アザっす!両手合わせて感謝感謝!ほらっ!みーぴーもやるのよー!


「ミィ」ありがとうなの


「ピ……」できないの……


「……飼い主が頼りないと大変ですね。」


 ですよねーっ!


 去って行った副店長にホッとする、冒険者に必要なもんって分からんから助かった!ポンコツに任せたらおやつしか入れなさそう。


「ピー」さすがにそこまでじゃないとしんじたい


「ミウミウ」ばかはふつうじゃないのーみぃしってるのー



「きゅーちゃん!冒険者のお荷物入れて?」


 入れる前にチェックだ、全部出せや。


「ええー……面倒です」


 人間だからのぅ!パンチ効くんやで!


「のうっ!!止めて!!」


 ばっさばさと中身を出す、なに、えー櫛?ああブラッシングね、シャンプーも忘れちゃ駄目だよね、おお!おもちゃもこんなに!おやつも一杯だ!!


 って俺が言ったもんじゃねーか!!


 ジャンプして頬にパンチ!馬鹿め!


「ブフゥ!ぃ痛い!何ですか!」


 旅行気分ですか!っ


「さっききゅーちゃんが言ってたの用意したのに!!」


 冗談だろがー!人間に堕ちて馬鹿が加速してんのは何なの!仕様なの!?


「私は正気ですぅ!きゅーちゃんが悪いの!紛らわしいのです!」




「あら、正気なの、コレで?旅行でも行くんですか?それは許可しませんけど?」


 ダッシュ!何か言われる前に小屋に逃げろ!「ミッ!」「ピッ!!」


 ヨーン!塊に突っ込む!ヨーンも震えておる、分かる分かるで!


「んぎぃーー!!許してくださいー!」


 ポンコツの悲鳴が聞こえる!恐ろしい!

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