ライティング

作者 倉田リク

10

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★★★ Excellent!!!

 就職活動に失敗した主人公は、運よく文学の博物館に非正規ながら雇われる。そこに、かつての大学仲間である男性が現れ、新進気鋭の作家の手書き原稿を、データ化する作業を依頼される。大学を卒業して大手出版社の編集者となっていた大学仲間の男性には、下心があった。しかし主人公が惹かれたのは、不器用な作家の方だった。大学時代の仲間とは言え、粘着質な誘いに、主人公は困惑する。しかも主人公が男の誘いを断ったことから、作家の意外な過去が露呈する。主人公が自分の過去を売ったと思い込んだ作家と、主人公には溝ができる。
 そんな中、追い打ちをかけるように、主人公の母親が現れて、実家に戻って見合いをするように諭す。
 そんな中、不器用な作家が、主人公と共に時間を過ごす中で、少しずつできなかったことをできるようになっていく。ついに、名のある文学賞に作家の作品がノミネートされて、主人公は応援するたびに遠ざかる作家との関係に、意気消沈する。
 しかし、物語はこれで終わらない。
 最後には二人と一匹の、思いもよらぬ結末が待っている。

 短文なので、さくさく拝読できました。
 不器用な人間同士の努力と、それを否定する人々の対立が構造的によくできていて、思わず感情移入してしまいました。

 是非、御一読下さい。