17-1(43)

 ―7番村・市場の昼下がり―



「お~い! ゲン!」

「あっ! リクさん、こんちわ」

「ちょっとお前に話があってよ」と強引に肩を組まれ土手の上まで引っ張り

込まれた。

「な、何ですか話って?」

「実はちょいと手伝って貰いたいことがあんだけどよ」

「あっ! あの畑の件なんですけど、実はまだ……」

「いや、その件はもういいんだ。それより手伝ってくれるよな!」と男

からの圧倒的な威圧感に耐え切れず「ハ、ハイ!」と言ってしまった。

「じゃ~ 今からオレの言うことをよく聞けよ」と男はその場に

座り込みオレにも座るよう促した。

「一応聞いとくがお前がこの村でケンカが一番強いってことでイイんだ

よな」との問いかけに一瞬動揺するオレを男は見逃さなかった。

「違うのか? オレに嘘は通用しないぜ」

「いや、実は以前ソラって奴がいてそいつに一度だけ突き飛ばされた事が

……」と視線を逸らすと男はオレの顎を指で軽く持ち上げた。

「そのソラって奴、ココに呼んでこい!」

「い、いや、もうこの村にはいないんだ」と焦るオレとは対照的に男の表情

が緩んだ。

「じゃ~ お前が実質ナンバーワンってことじゃね~か」

「う、うん、そうなるかな。ハハッ……」

「よし、じゃ~ 話が早い。まずお前の仲間でなるべく力の強そうな奴を

そうだな……15人ほど集めて、この1から15のナンバープレートを首

からぶら下げるよう指示しとけ」と鞄から白いプレートの束を取り出した。

「これって誰が何番とかあるんですか?」

「あるよ。まずお前が1番だよ」とプレートを渡してくれた。

「この番号には何か意味あるんですか?」とオレはまじまじと真新しい

プレートを眺め男に質問した。

「番号が若い順にイイ思いするって事、つまりお前が他の奴に比べて

一番イイ思いするって意味だよ」と肩を軽く叩かれた。

「イイ思いってどんな事ですか?」とかなり食い気味に尋ねてみると男は

鞄から小袋を取り出し「これ、やるよ!」と差しされた袋の中にはあの時

貰ったチョコがぎっしり詰まっていた。

「いいんですか、こんなに貰って?」

「イイ思いってのは他にもいっぱいあるぜ、お前が想像できないような物

も含めてな。だから楽しみにしてな!」


 あまりの嬉しさに満面の笑みでお礼を口にしたが予想どうりそれなりの

仕事を男から任された。

 それは次回、男と会うまでにプレートの振り分けを完了させておくという

ものだが、男から提案された振り分け方法とその理由があまりにも過激で

予想外なものだった。

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