現代に生きること
1867年、大政奉還。
これにより徳川幕府――ひいては武士による政治が終わった。更には明治維新などにより、武士という存在は大きく立場を変えざるを得なくなる。無論、生き方さえも。
そして現代。明治大正昭和平成と過ぎ、それこそ当時を生きた人々は、教科書で見るか大河ドラマで見るような時代になってしまった。
そういった変遷を武士はどう思うんだろう。きっと江戸時代のだいぶ落ち着いた頃にのんびり過ごしていたであろう、コイツは。
もしかしたら、あまりのことに衝撃を受けてしまうかもしれない。それどころか、武士たる自身のアイデンティティに疑問を抱くかも……。
――そう思っていた時期が、私にもありました。
「オレィッ!」
今私の目の前には、華麗なステップでマツケンサンバを踊る武士がいます。長く自粛生活が続くとはこういうことです。マツケンサンバが踊れるようになるんです。
「大家殿、某は暴れん坊将軍が見たいぞ」
そんで爆弾発言をする武士である。
えー、いいの? これ相当お前の時代にニアピンしてると思うんだけど。その割に「これ違くね?」ってなっちゃうとこもあると思うんだけど。
そっか、平気かー。むしろ気になるかー。じゃあ今度TSUTAYAで借りてきてやるわ。
「オレィッ!」
喜びをマツケンサンバで表現するな。部屋狭いから時々腕が家具に当たってんじゃん。
なんか……アレだな。いいのかお前、そういうスタイルで。普通現代にタイムスリップ系って、自分のいた時代とのギャップに苦しめられてなんぼじゃないの?
「……?」
難しい言葉が多くてすぐには理解できなかったらしい。微笑んでごまかしている。一丁前に社会人の処世術使いやがって。
でも理解してたところで多分コイツはマジで気にしてねぇんだろうな、うん。
「オレィッ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます