高熱

『四歳児は、“イカ2貫”の中に隠されたカニの存在に気づくことができる』


 そんな謎LINEが姉から来た時、私は原因不明の高熱に苦しんでいました。

 どうもご無沙汰してます、大家です。そんでこっちで私が食えない分のヨーグルトを消費してるのは、居候の武士です。


「大家殿はたびたび具合が悪くなるな」


 口の周りを真っ白にしながら、武士が言う。お前食うの下手ね?


「一体どこでもらってくるのだ」


 分からん……。仕事先かな? 受注書と一緒にさ、つまらないものですがっつって。


「じゅーちゅ……」


 違う、受注。何、喉乾いたの? ジュース飲みたいの?

 飲んでいいからついでに私にも飲み物くれ。なんかずっと喉がイガイガしてて乾いてんだよ。


「ほれ」


 あんがと。

 でもこうしてるとアレだな。つくづく一人じゃなくて良かったと思うよね。


「ぬふふ、先日は江戸に帰れと申しておったというのに」


 あっちはあっちで心からの言葉だけどな。

 しかし現代と江戸、ライトな感覚で行き来できるようになるといいのにね。ちょっと酒飲みたい時とか風邪ひいた時とか、料理作り過ぎた時とかにお前を呼ぶの。そんで用が済んだらバイバイっつって。


「都合のいい関係というやつだな」


 嫌な言い方すんじゃねぇ。


「だがそれは良い案である。江戸には多くの課題があったが、ここの技術を使えば漏れなく解決できるだろうからな」


 課題ね。例えば?


「嫁不足」


 ……。


「婚活あぷりで江戸っ子もウハウハである」


 するってぇと何かい、婚活アプリをちょんまげ共が席巻すんのかい。

 ……。


 ……それは、ちょっと見てみてぇな……。

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