ニ◯テンドーからの刺客

 武士が、リングフィットを所望し始めた。


「楽しそうである」


 わからんでもない。あの丸いヤツをうにうにするの、楽しそうだよね。

 加えて、なかなか外にも出られない昨今のこと。我々の運動不足は日に日に募るばかりである。


 よって、購入した。


 フィットボクシング2を。


「何故!!?」


 だってリングフィットってその場ダッシュみたいな種目があるんだろ? ダメだよ、そんなん。やってみようもんなら、ボロアパート中に足音響き渡って下の階から物干し竿で天井ドン食らうよ。何なら床突き破ってケツに刺さるよ。そんぐらいは起こるんだよ、このアパートは。


「尻は困る」


 だろ。

 その点、フィットボクシングならリズムに乗ってパンチ打つだけでいいからさ。下の階の人に迷惑かからず、天井ドンも無いから私らのケツも守られるって寸法よ。


「ふむ、一理あるな」


 分かっていただけたならオーケーさ。そんじゃ、早速軽くやってみるべ。実はこれ、二人プレイもできるんだ。

 どっちが明日のボクシング界担うか勝負しようぜ!


「負けぬぞー!」


 ははははは。





 結論から述べると、私が負けました。


「あいあむ、ちゃんぽん」


 意気揚々と人差し指を立てて郷土料理になった武士はさておき、現在の私は完全に膝が震えて立てない状態です。いや汗と息の上がり方エッグい。そりゃそうだ、運動結果の肉体年齢40歳って出てるもん。致命的な運動不足。

 反省、猛省。

 ちなみに武士は、戸惑いながらも案外いいパンチ打ってました。やっぱ普段から鍛えてると違うのかね?


「なんか某、男っぷりが上がった気がする」


 そんで鏡に向けてシュッシュとパンチ打ちながら、武士は恍惚としてました。わかる。なんかパンチ速くなると男が上がる気がするよね。

 そういうわけで、武士とcv.大塚明夫さんのたくましいアニキと共に、最近おうちでへなちょこパンチを打っているのです。

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