親知らず抜いてくるね

 抜いといた方がいいから。この生え方はヤバいから。今は問題無くても絶対痛みくるから。ノストラダムスより当たるから。


 そう歯医者さんに言われて、右下の親知らずを抜くことになりました。


 おはようございます。


「歯を……抜くのか……!?」


 そしてその事を武士に伝えたら、死地に赴く戦士を見送る目をされました。

 うん。抜く。


「そんな……そのような……! し、しかも元気な歯なのに?」


 うん。そういうもんらしいの。

 ヤベェ生え方してたら、痛みが出る前に抜いた方がいいらしいの。


「なんと……なんという……! そ、某、普段から虫歯にならぬよう並々ならぬ神経を使っておる。だが、この世界のお医者の手にかかれば、未来を見て悪くなる歯を知ることができるのか……!」


 未来を見るっつーか、経験則っつーか。


「全部抜かれたらどうしよう……!」


 今は入れ歯もいいのがあるらしいよ。


「……」


 あ、ちょっと気になってる顔だ。

 まあ何事につけてもそうだけど、頑張るだけ頑張ってダメならその時だよね。


 ともあれ、親知らずの抜歯である。


 あああああああああ行きたくねぇえええええええ!!


「しかし、行かねばいずれ痛くなるのだろう?」


 なるそうだね!

 レントゲン見せてもらったけど、信じらんねぇ角度かましてたもん。

 親の顔が見てみたいぜ。


「あなたの子よ」


 うるせぇ、産んだ覚えねぇわ。


 そんなわけで、行ってきます。

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